理研雇い止め訴訟 60代研究者の請求を棄却 さいたま地裁
理化学研究所(本部・埼玉県和光市)から違法な雇い止めをされたとして、生命科学系の男性研究者(64)が研究チームリーダーとしての地位の確認を求めた訴訟で、さいたま地裁は20日、地位確認の訴えを退け、損害賠償請求を棄却した。鈴木尚久裁判長は、採用の募集要項に最長10年とする更新上限が記されており、契約が更新される合理的な期待はないとして、雇い止めの違法性を認めなかった。 【写真特集】理系研究者8人に1人が雇い止め 2013年4月施行の改正労働契約法は、有期労働契約が通算5年を超えると無期転換を申請できると定めており、研究職は特例法でその期間が10年超とされている。 男性は11年以降、10年以上理研で研究に従事してきたが、通算契約期間が10年の上限に達するとして、理研から23年3月末で雇い止めされた。男性は22年7月、理研などを相手取り提訴したが、理研は理事長特例で男性を研究リーダー職から上級研究員に降格させた上で雇用を継続。男性は研究スタッフを失い、研究上大きな支障が出たとして、地位確認と損害賠償を求め、23年7月に改めて提訴し直していた。 原告の男性は「完全にこちらの主張を無視して理研の主張をそのまま書いているだけの判決だ。問答無用でクビを切るようでは研究者が育たなくなり、科学の発展は期待できなくなる」と話した。【垂水友里香】