「ブラックマンデー」も「世界恐慌」も10月だった!米国発のアノマリー「10月効果」をどこまで警戒すべきか、過去のデータをもとに検証
平均騰落率はプラス
次に、日本株、米国株それぞれ同期間内の10月の平均騰落率を計算したデータを見ると、どちらも1%未満と非常に小さくはあるものの「プラス」の結果が出ました。 多くの人にとって、「ブラックマンデー」(1987年10月19日)や、世界恐慌の発端となった「ブラックサーズデー」(1929年10月24日)などが、強く印象に残っているので、10月は暴落が多いと思われがちですが、実際には特別に弱い月であるとは言い切れません。過去の統計的には、大きく下落する確率は低い月であると言えるでしょう。
大統領選があった2016年、2020年はマイナス
先ほどの検証は、過去の長期間にわたるデータを基にしたものであり、直近の経済の状況とはかなり異なる部分も多く含まれています。そこで、直近10年間のS&P500と日経平均株価の10月の月間データを検証してみました。その結果は次の通りです(平均騰落率がプラスの月は「勝ち」、マイナスの月は「負け」)。 【S&P500】 ・6勝(平均上昇率4.96%) ・4敗(平均下落率▲3.46%) 【日経平均株価】 ・6勝(平均上昇率6.24%) ・4敗(平均下落率▲3.76%) このデータからあらためてわかるのは、過去10年間でどちらも勝ち越しているため、10月は決して弱い月ではないということです。また、日本株の方が変動率が高い点についても、先の検証結果と一致しています。 ただし、2024年は4年に一度の大統領選挙の年です。 同じく大統領選挙が行われた2020年と2016年のS&P500の騰落率を見ると、 ・2020年:▲2.77% ・2016年:▲1.96% と、いずれもマイナスとなっています。このことから、大統領選挙を直前に控えた2024年の10月も、上値が重たい展開になる可能性が高いと考えられます。
まとめ
今回、10月に暴落のイメージが強かったことから検証を行いましたが、以下の結論が得られました。 ・米国株は例年、10月の変動幅が小さくなるが、日本株は大きくなる。 ・平均騰落率はプラスで、直近10年間では勝ち越しているため、プラスで終える可能性の方が高い。ただし、大統領選挙の年の10月は、リスクを取りづらい状況が続く。 このことから、暴落のイメージが強い「10月効果」ですが、過度に警戒する必要はないと言えます。ただし、暴落は予測できないからこそ、テールリスクに備えた適切なリスク管理が重要です。常に情報をアップデートしつつ、11月以降の年末相場に備えていきましょう。 【プロフィール】 森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。