SEVENTEEN、13人完全体で迎えたデビュー9周年記念日 日産スタジアムで伝えた感謝と次なる夢
2023年7月、同年4月にリリースされた10thミニアルバム『FML』を携えたSEVENTEENのワールドツアー『SEVENTEEN TOUR 'FOLLOW'』が始まった。ツアー中には“JAPAN BEST ALBUM”として『ALWAYS YOURS』、11thミニアルバム『SEVENTEENTH HEAVEN』をリリース。さらに、翌2024年3月の同ツアーアンコール公演がスタートし、4月にはグループ初のベストアルバム『17 IS RIGHT HERE』をリリース。4つの作品を跨ぎながら約10カ月にわたって敢行された長いツアーとなった。 【写真】SEVENTEEN、13人完全体で久しぶりの日本公演 なかでも、5月26日に行われた日産スタジアムでの公演はSEVENTEENにとってもCARAT(ファンの呼称)にとっても特別な公演となった。この日は大阪のヤンマースタジアム長居を含む日本での全4公演およびアンコール公演を含む『FOLLOW』ツアーの最終公演であり、SEVENTEENのデビュー9周年の記念日でもあった。そんな記念すべき日を、多くのK-POPグループが“夢のステージ”とする会場のひとつ、日産スタジアムで迎えたのだ。 特別な日の公演は、10thミニアルバム『FML』のタイトル曲「Super」から始まった。HOSHIの「Go!」という大きな掛け声とともにラストのサビへ突入したり、DINOがパワー溢れるダンスでセンターへ躍り出るのと同時にステージから炎が上がったりと、1曲目にして会場のボルテージも最高潮に。生バンドのサウンドも相まって、リアルで目撃するSEVENTEENの迫力がどういうものか、あらためて突きつけられるようなスタートだった。 そのまま「DON QUIXOTE」「CLAP」と群舞を“魅せる”3曲が続き、この日最初のMCへ。メンバーたちは口々に「やっとSEVENTEENが日産スタジアムに来ました!」「そして今日僕たちは9周年なんです」と記念日であることに触れつつ、メンバー個人による挨拶の時間に。充電器や猫、虎などをモチーフとしたコール&レスポンスを繰り出すメンバーも多くいたが、コンサートの定番ともなっているためか、ほとんどのCARATは説明されなくても応えることができており、両者の深い絆を感じる。その後も「SEVENTEEN CARAT! FOLLOW AGAIN!」とコール&レスポンスを繰り返し、約7万人のCARATとの一体感を確認すると、一転してエモーショナルな雰囲気の「Don't Wanna Cry」「F*ck My Life」が披露された。 「Don't Wanna Cry」では二手に分かれたメンバーが最年長のS.COUPSとJEONGHANを先頭にそれぞれ一列で並び、クロスを描くように交差する印象的なフォーメーションがある。2023年、S.COUPSは膝の前十字靭帯を断裂、JEONGHANは以前より足首を痛めていたとのことで、ふたりとも手術へ踏み切った。リハビリを乗り越えステージへと戻ったふたりは今、振り付けやパートを臨機応変に変更し、コンサートに参加している。そんな彼らが舞台袖から歩いて登場し、自然にステージへ合流するとメンバーを率いて交差する――その場面がステージ横の大きなモニターに写る。もとより美しい楽曲と振り付けだが、より印象的なシーンとなっていた。 その後は雰囲気を変え、「Rock with you -Japanese ver.-」を歌いながらバックステージへ移動。最後のサビ部分はステージ正面側のスタンド席へ向かい、パフォーマンスチームのリーダーであるHOSHIを先頭とした逆三角形のフォーメーションが印象的なダンスが披露された。広い会場だったが多くの楽曲でバックステージが使用され、そのぶん多くのCARATがメンバーを近くに感じることができたのではないだろうか。 ここで一度VCRを挟み、セットリストはユニット曲ゾーンに突入。最初はVOCAL TEAMが登場し、「Pinwheel -Japanese ver.-」「Dust」「Yawn」の3曲が披露された。スタジアムならではの夕暮れと涼しい風が、優しい雰囲気の5人に似合う。特にVOCAL TEAMのリーダーであり、ほとんどのグループの楽曲を手がけるWOOZIは、最近楽曲のメッセージに合わせて使う音を選ぶのと同じように、自分の歌声も楽器のように扱っているように思える。この日も、声色の強さや吐息の量にまで意識を行き届かせる繊細さを感じた。 次に登場したのはPERFORMANCE TEAMの4人。「I Don't Understand But I Luv U」「HIGHLIGHT -Japanese ver.-」「Back 2 Back」の3曲が披露された。公演を通して“通り道”となる花道とムービングステージはファンサービスをする時間となっていたが、このパートで4人はムービングステージに到着するや否やビシッと立ち、ステージが動き出すとそこでもダンスを披露。チームの名前を体現するようなステージになった。続くHIPHOP TEAMは「Fire」「Back it up」「Monster」の3曲を披露。激しい轟音が鳴り響くなかでも、S.COUPSを中心に落ち着いた雰囲気で魅せていく。しかし、「Monster」では“4人の大人が本気で遊んでいる”ような瞬間もあり、新しい一面が垣間見える。 あらためてメンバー全員で登場すると、「Follow Festival」のコーナーへ。メインステージでの「HOME;RUN -Japanese ver.-」「Left & Right」とノリのいい楽曲が続く。アドリブ部分ではMINGYUが「SEVENTEEN 9歳! お誕生日!」と元気よく言い、WONWOOは戸惑いつつも「お疲れさま~!」と続けて会場を和ませた。続く「Beautiful」では、HOSHIの「CARATちゃんは?」というコールとCARATによる「Beautiful!」というレスポンスが何度も繰り返され、バックステージへ移動すると11thミニアルバム『SEVENTEENTH HEAVEN』のタイトル曲「God of Music」を披露。幸福感と日の沈んだ会場で目立ち始めたペンライトの光が、MV後半さながらのフェスのような楽しいシーンを思い出させる。 思わず体を動かしたくなるような楽曲が続いたかと思えば、「April shower」「All My Love -Japanese ver.-」という大きな愛に包まれるような2曲が歌われた。SEVENTEENはアイドルらしいダンスがステージに映えるタイトル曲のイメージがある一方で、作品の収録曲にはディスコやハウス、テクノをベースとしたダンスフレンドリーな楽曲も多く、さらにはこの2曲のように歌詞を大切に噛み締めたくなる楽曲も持っている。彼らには、これだけいろいろなものを詰め込んでも“SEVENTEEN”というパッケージとして成り立たせるパワーがある。 歌い終えた13人はメインステージへ向かいながら、デビューミニアルバムのタイトル曲「Adore U」や日本デビュー曲「CALL CALL CALL!」を歌い、記念日らしいサプライズにひと際大きな歓声が。CARATも一緒に歌い、特別な時間が流れた。メンバーが一度ステージから姿を消すと、モニターはコンサート定番の演出やダンスを楽しむ「CARAT TIME」を知らせる。カラオケのように歌詞や掛け声、ダンスの指示がモニターに映され、それに合わせたCARATたちとステージに残ったダンサーたちとの時間は大いに盛り上がった。 衣装を変えたSEVENTEENが再登場すると、ベストアルバム『17 IS RIGHT HERE』のタイトル曲「MAESTRO」を披露。楽曲のラストにはハードなステップが待っているが、コンサート終盤にそれをやり切るメンバーたちを見ると、再び9年という重みを感じる。本編最後のMC中にはペンライトでのウェーブが行われ、会場はグループのオフィシャルカラーであるローズクォーツ&セレニティの光に包まれた。 余韻を残すなかMINGYUが次で最後の楽曲になることを告げ、本編最後の楽曲「HOT」へ。ラストのサビを何度も繰り返すアレンジとともに炎や花火が上がり、会場が何度目かわからない最高潮へ達したまま本編が終了した。