激アツカーはどれよ!? 2024下半期に注目のクルマ4選
相次ぐ不祥事などの影響もあり、壊滅的に新車が売れなかった上半期のクルマ業界。一方、認証不正のみそぎを済ませたダイハツがカムバックしたけど完全復活なの? ホンダとスズキが競って投入する噂の軽の正体は? 最前線を取材した。 【表】「2024年7月の新車販売総合ランキングベスト10」ほか * * * ■軽の売れ筋は三つどもえのバトルに! まず注目したいのは、8年ぶりのフルチェンジを受け、6月28日に発売となった3代目フリード。累計販売台数122万台を誇るホンダの大人気ミニバンである。 販売状況はどうかというと、発売から1ヵ月(7月27日時点)の受注台数は約3万8000台。この数字は月販計画の6倍なので好調な滑り出しを飾ったといえる。 ホンダによると、同車は先代フリードだけでなく、軽自動車やコンパクトカーからの乗り換えも多いのだという。気になるのは受注の内訳だ。パワートレインはホンダ独自のハイブリッド技術であるe:HEVが83%、ガソリンエンジン車が17%となっている。 ちなみに3代目フリードのボディはスタイリッシュな見た目のエアーと、SUV風のクロスターを用意しているが、売れ筋はe:HEVエアーEXで実に55%と全体の半分超を占めている。それに次ぐのがe:HEVクロスターの25%だ。 「売れ筋のe:HEVエアーEXの納車は来年4月以降。e:HEVクロスターも年内に納車できるかどうか微妙な状況です」(ホンダ販売店関係者) お次の注目カーはダイハツのタント。昨年末、28車種の認証不正が発覚し、全面出荷停止に追い込まれていたダイハツだったが、主力の軽スーパーハイトワゴンのタントが今年4月10日に生産再開。ファンの揺るがぬ〝熱烈ダイハツ愛〟が炸裂し、7月の新車販売総合ランキングで4位につけた。 そんな現行タントは2019年にデビューした4代目。先進安全技術「スマートアシスト」を標準装備し、軽量化を達成した新骨格は乗り心地も上質。室内は広々で、ミラクルオープンドアにより乗降性は他の追随を許さない。 ただし、ライバルのスズキのスペーシア、ホンダのN-BOXは昨年フルチェンを受けているため、鮮度で劣るタントがどこまでトップ争いに食い込めるかに注目が集まっているが......認証不正によるダメージは根深い。 全軽自協(全国軽自動車協会連合会)によると、今年上半期のダイハツの軽新車販売台数は11万6710台(前年同期比60.5%減)と大低迷。10月下旬からは認証不正問題の影響で、再び複数車種の生産が停止に......。どうやらダイハツの〝完全復活〟はまだまだ先のようだ。 一方、低迷するダイハツを尻目に販売絶好調なのがスズキ。上半期の国内軽新車販売台数で30万5598台(前年同期比14.9%増)という大躍進を遂げ、18年ぶりに軽販売トップに輝いた。 このスズキの快進撃を支えるのが7月の新車販売総合3位をマークした3代目スペーシア。昨年11月にフルチェンを受けると爆売れ。今年5月の新車販売総合ランキングでは王者N-BOXを蹴散らし、スズキに9年5ヵ月ぶりの総合1位をもたらした。 しかし、軽部門で9年連続トップに立つ怪物カー、N-BOXが黙っているわけもなく、翌月にはあっさりと首位に返り咲き。メディアや専門家などからは《スペーシアの1ヵ月天下》《N-BOX強し!》というような声も出ているが、先代モデルと比較すると、王者N-BOXの販売には勢いが感じられない。 事実、今年上半期も新車販売総合1位だったが前年割れ。7月も新車販売総合1位に立ってはいるものの、こちらも前年割れである。 「先代モデルより内装の質感が下がり外観も地味。国内の売れ線であるハイブリッドを用意していないのも痛い」(別のホンダ販売店関係者) ホンダは販売のテコ入れにSUV風のN-BOXジョイを間もなく正式発表するようだが、すでにスズキは7月25日からSUVテイストの人気モデル、スペーシアギアの新型を先行公開して大きな話題を呼んでいる。 下半期は、〝シン・国民車〟とも呼べる軽スーパーハイトワゴンのタント、スペーシア、N-BOXの三つどもえの販売バトルが過熱しそうだ。 取材・文・撮影/週プレ自動車班 撮影/山本佳吾 望月浩彦 写真提供/ダイハツ工業