米国に「対中外交の圧倒的な差」を見せつけられる日本のお寒い現状
冷え切った日中外交
米中関係に比べると、日中関係はまことに寂しい限りだ。要人の往来は乏しく、目立つのは非難合戦ばかり。 岸田政権時代の首脳会談は、就任直後2021年10月のあいさつ代わりの電話会談と、2022、2023年のAPEC(アジア太平洋経済協力)サミット出席の機会を利用した会談の2回だけだ。外相はじめ閣僚級の往来もほとんどない。 2023年の首脳会談では、「戦略的互恵関係を包括的に推進」「建設的かつ安定的な日中関係の構築」で合意した。残念ながら具体性に欠けるお題目だけで、双方のやる気のなさが透けて見える。 日中間で最大の懸案のひとつが、日本が福島第一原発の処理水を海洋放出したのをきっかけに中国が打ち出した、日本の水産物の輸入停止措置だ。この1年ほど、ほぼ何の動きもなく、やっと9月に中国が試料採取に参加することを合意し、一歩前進したように見えるが、輸入再開のめどは立っていない。 8月末には日中友好議員連盟の会長である二階俊博衆院議員ら超党派の議員団が訪中したが、習近平主席との会談は実現せずに終わった。 同じタイミングで訪中したサリバンは、習近平主席のほか軍制服組トップの張又侠・中央軍事委員会副主席らとも会談しており、中国の日本に対する冷遇ぶりが目立つ。 より深刻なのが、民間交流だ。訪中する日本人は、コロナ前に比べて激減している。 さらに悲惨なのは、研究者らの学術交流だ。日本在住の中国人研究者が一時帰国中に拘束される事件が続き、さらに日本人研究者も中国で拘束される事件が起きた。そのため、日本の中国研究者が調査や研究などで中国を訪問するのは極めて困難になっている。
Katsuyuki Yakushiji