介護給付を不正受領1億円超 さいたま市が指定取り消し 無資格者がサービス提供に従事 市は事業者に返還求める方針 事業者側は「不正の認識ない」
埼玉県さいたま市は22日、無資格者に重度訪問介護サービスを提供させ介護給付費を不正に受領したなどとして、同市桜区上大久保の指定障害福祉サービス事業者、NPO法人「介助派遣システム」(外口孝治理事)を障害者総合支援法に基づき、11月1日から指定取り消しの行政処分にした。不正請求は約8966万円で、不正受領額は4割の加算金を含め、2019年7月~21年3月分で計約1億2553万円に上る。市は21年4月分以降も不正があったとみられるとして、額の算定を急ぐとともに、事業者に返還を求めていく方針を示した。 蹴ってくる介護士…入浴も減らされ人格尊重義務違反 あきれた老人ホーム、さらに158万円分の不正請求 虚偽報告も
市障害政策課などによると、「介助派遣システム」は、ヘルパーが自宅を訪問して入浴や排せつ、食事の介助などを行う重度訪問介護と居宅介護の障害福祉サービスを提供。現在7人が利用している。 処分の対象期間中に利用者5人に対し、重度訪問介護従事者の資格要件を満たさない無資格者14人にサービスを行わせるなどして、介護給付費を不正に請求し、受領したりしていたという。今回、居宅介護に関しては違法行為は確認できていないが、重度訪問介護と一体的に運営しているため、指定取り消しになる。 23年2月の定期監査の際に不正が発覚。22年9月には今回の行為があった旨の書面が市に届いていたという。不正請求額に加算金を加えた給付費はさらに増える見通し。 事業者側は「不正の認識はない」「市との話し合いの中でやってきた」と主張しているという。市は「不正行為を認めてきた事実はない」として、給付費の返還を求めていくとともに、刑事告訴も視野に入れているとしている。