DAOは従来型組織と何が違う? Web3.0時代の“分散型自律組織”とは【SENSORS】
テクノロジーの著しい進歩によって、今、私たちは「Web3.0時代」を迎えたと言われている。そんな中、これからの働き方や組織の在り方を大きく変えるものとして、世界中で注目を浴びているのがDAO(Decentralized Autonomous Organization)だ。 DAOは「分散型自律組織」を意味する。特定のリーダーや管理者が率いる中央集権的な組織とは違い、それぞれの参加メンバーに権利があり、多様な個人が意思決定に関与しながら自律的に動く組織を指す。 DAOにはどのような価値があるのだろうか。DAOを実践し、その可能性に期待を寄せる4人が語り合った。
■報酬もデジタルで完結…設計の幅が広がる組織
「今までよりも自由に組織を設計できる世界が始まろうとしています」 そう明言するのは、自由民主党デジタル社会推進本部のweb3プロジェクトチーム事務局長を務める塩崎彰久議員。塩崎議員は、DAOのひとつの特徴が「インセンティブ設計の柔軟さ」であると話す。
「これまでの会社の報酬は、基本的にお金やボーナスといった経済的価値のあるものでした。しかしDAOでは『握手ができる』『特別なNFTがもらえる』といった選択肢もインセンティブとして加えることができます」 非金銭的報酬自体は従来からあるが「ブロックチェーン」の技術によりデジタル上で簡単に実現できることが、DAOコミュニティが広がる所以だという。また、定められた条件を満たした場合に自動で契約の履行や送金の処理ができる「スマートコントラクト」もDAOを支える技術だ。 柔軟な報酬設計のみならず、手続きのスピード感も魅力。株式会社設立とは違い、行政手続き不要で即日始めることも可能だ。 TOYOTA Blockchain Labの上野直彦さんは、「スピード感と多様性こそ、20世紀型の株式会社などの組織とは異なる21世紀型の組織の基本になっている」と強調する。
「立ち上げ段階はリーダーシップのある人が引っ張る必要があるかもしれませんが、徐々に時間が経って分散化していきます。それもDAOのダイナミズムです」