連合赤軍事件の過ちはどこに? 運動の内部から反省・分析 重信房子さんの新著『はたちの時代』
残された森指導部はより先鋭化し、政治路線の異なる革命左派(京浜安保共闘)と合体して連合赤軍を組織し、山岳訓練中の山小屋で同志12人をリンチ死に追いやった。重信は親友遠山の死を遠くベイルートの地で聞く。 革命を目指す党派の運動と、大学解体を叫ぶ全共闘運動が交錯したこの時代には、何万人もの若者が社会に向かってもの申した。同時に多くの活動家が内ゲバで命を落とし、あるいは心身に深い傷を負った。しかし、当事者による記録は意外に少ない。半世紀前を反芻しながら、できるだけ正確に伝えようとしている本書は貴重だ。 関わった人々の氏名をあえて記さなかったり、イニシャルにしているのは、記録としては残念だが、関係者にとって「あの時代」はまだ終わっていないからだろう。 純粋な正義感から出発した若者たちの運動がなぜ道を誤ったのか。重信は「その後の私の経験と教訓から言えば、革命党の統一の要諦は『違いを受け入れる』ことであり(略)統一戦線や共同の要諦は『違いをリスペクトする』ことにあります」と記す。
今、政治の世界で政権に反対する側が、小さな違いを言い立てて分立し、力を失っている。そうした状況をも射貫くような言葉だ。本書から学ぶ点は多い。