生田斗真とヤン・イクチュンが競演の「告白 コンフェッション」…受けた刺激、日韓実力派は早くも再共演に意欲
俳優の生田斗真(39)と韓国俳優ヤン・イクチュン(48)がダブル主演する映画「告白 コンフェッション」(山下敦弘監督)が、31日に公開される。日韓実力派の“競演”が実現した本作は、山小屋の密室で起こる絶体絶命のワンロケーション・スリラーを描く。生田とヤンは初共演で受けた刺激や、再共演への意欲を語った。(奥津 友希乃) 通訳を交え、日本語と韓国語で談笑する声が近づいてきた。この日は報道各社による取材日。イクチュンは、取材スケジュール表を横目に「信じられないよ!」と席に着く。生田も「えっ、韓国ではこういう取材やらないの?」と目を丸くする。 イクチュン「一日に十数本受ける経験はないかな。韓国にはたまに機械的に質問をする記者がいて。前にたくさんの取材を受けた時、そういう人に冷たい態度を取って失敗したことが…」 生田「ちょっとちょっと、記者さんを緊張させないであげて!」 イクチュン「あ、今日は大丈夫です! 安心してくださいね!」 何げない会話まで息ぴったりの2人だが、共演は本作が初めてだった。 イクチュン「最初生田さんを見た時、彫刻のようなイケメンでイタリア人のようだと思いましたよ。それと同時にもしかしてクールで冷たい人かな?と緊張しましたが、その心配は不要でした」 生田「僕はイクチュンさんとご一緒できると聞いてから、本当にずっと楽しみでワクワクしていました」 物語は雪山での遭難から始まる。イクチュンは、極限状態から「過去に同級生を殺した」と“告白してしまった男”ジヨン、生田はその告白を“聞いてしまった男”浅井役を演じる。告白の直後に山小屋が見つかり一命を取り留めた2人は、この上なく気まずい一夜を過ごすことになる。 生田「僕は密室空間で、二人芝居をすること自体が初めて。想像以上に感覚を研ぎ澄ませて、緊張状態を持続させることが必要でした」 イクチュン「そうでしたね。互いの感情が逆転したり心理ゲームがとても興味深く、挑戦しがいのある作品でした」 撮影は約2週間、セットの山小屋を中心に行った。 生田「本当に集中力のいる作品だったので、カットがかかるたびに僕は外で日光を浴びていた。イクチュンさんはスタッフさんと談笑していて『忍耐力のある人だなあ』と感心してました」 イクチュン「いえいえ、僕も日本の現場とあり、普段よりずっと緊張していました。だからあえて会話をして周囲の人のエネルギーをこっそり盗んでいたんです。生田さんの日光浴と同じですよ」 疑心暗鬼に陥った浅井とジヨンの行動は狂気をはらんでいく。緊迫感あふれる怒濤(どとう)の攻防戦は必見だ。 生田「イクチュンさんはお芝居でアンコントロールに見える部分も、ちゃんと到達点を緻密(ちみつ)に計算している。だけど、観客には決してそうは見せない、技術力の高さが素晴らしかったです」 イクチュン「今作はジヨンが主にアクションを起こす側。でも、アクションを受ける側の方が何倍も難しい。それでも生田さんは、どの瞬間においても発散されるエネルギーがきらきらと輝いていて、だからこそ私も感情を思う存分発散できました」 試写会場では終映後、客席から「恐ろしかった…」と声が漏れていた。 生田「うれしい。見てくださる方が自分の席から離れたくなるような気分になってくれれば、本望です」 イクチュン「だから、この映画に限っては、観客席にお客さんを縛っておかないといけませんね(笑い)」 本作は生田にとって、昨年11月に「スマイルアップ」から独立後、初主演映画。環境も大きく変化する中で30代ラストイヤーを迎え、心境の変化も感じている。 生田「年々自分のためってよりは、自分の人生を使って誰かを幸せにしたい、誰かの役に立ちたいというマインドに切り替わっています。自分に何ができるのか、見つめ直す年にしたい」 イクチュンは、活動の場を世界に広げる中で映画の可能性を模索している。 イクチュン「僕は前にパニック障害を患い、慣れた日常から離れたいという気持ちから、日本や海外作品に参加するようになりました。今は言語も国も関係なく、映画人としていい作品に出ることが一番のモチベーション。各国のシステムの違いを理解した上でもっと俳優同士、個人的な結びつきを強めていければ映画の可能性は広がっていくと思っています」 役者魂が共鳴し合った2人は、早くも再共演に意欲をのぞかせている。 イクチュン「次は、お互い命の危険がない役がいいかな。社会のレールから外れて生きるような執着心のない役とかはどう?」 生田「面白そう! 確かに今回はハードだったから、平和な作品でご一緒できたら楽しそう」 イクチュン「その時はぜひ報知新聞さん、出資してくださいね(笑い)」 ◆「告白 コンフェッション」 大学の山岳部OBの浅井(生田)とジヨン(ヤン)は、16年前に登山中に行方不明となった同級生・さゆり(奈緒)の慰霊登山をしていた。吹雪で遭難し、大けがを負ったジヨンは死を覚悟し「さゆりを殺したのは俺だ」と浅井に告白する。だが、直後に山小屋が出現し、2人は助かってしまう―。74分。 ◆生田 斗真(いくた・とうま)1984年10月7日、北海道生まれ。39歳。97年にNHK朝ドラ「あぐり」で子役として注目され、2007年にフジテレビ系「花ざかりの君たちへ~イケメンパラダイス~」でブレイク。10年、初主演映画「人間失格」などの演技で第53回ブルーリボン賞新人賞を受賞。主な作品は「土竜の唄」シリーズ、「友罪」など。妻は女優の清野菜名。身長175センチ。 ◆ヤン・イクチュン 1975年10月19日、韓国・ソウル生まれ。48歳。大学と演技学校で芝居を学び、俳優活動を開始。2009年、長編映画初監督作「息もできない」では製作・脚本・主演・編集も手がけ、世界各国で25を超える賞に輝き注目を集める。日本でも「夢売るふたり」(12年、西川美和監督)や、「あゝ、荒野」(17年、岸善幸監督)など話題作に出演。身長170センチ。
報知新聞社