【就職ランキング】小学校の先生になる…採用者数1位の大学は?
小学校教員は、競争倍率の低下や中途退職者の増加など、人気が低迷している中で、教員を目指す学生たちには期待がかかります。小学校教員採用者数ランキングから、上位校の特徴やその理由、また注目校について紹介します。 【ランキング】1位の大学は? 小学校教員採用者数トップ10
公立学校の小学校教員として採用されるためには、主に大学の教職課程などで「小学校教諭普通免許状」を取得後、各都道府県や政令指定都市が実施している教員採用選考試験に合格する必要があります。 大学通信 情報調査・編集部の井沢秀部長は、小学校教員採用ランキングについて、次のように分析します。 「1位の愛知教育大学、2位の福岡教育大学、3位の北海道教育大学は、互いに入れ替わりながら、例年トップ3を独占しています。3校とも教育学部だけを持つ国立の単科大学で、入学定員が一般の国公立大学の教育学部や私立大学の教育学部に比べると多くなっています。教員採用試験を受ける学生の数も多く、これが採用数の多さにつながっていると考えられます。教員養成大学として長年の実績があるので、受験生からの人気も高いです」 3校のうち、最も歴史があるのは愛知教育大学です。前身となる愛知県養成学校が明治6(1873)年に設立されています。学校教員養成課程のうち、卒業要件に小学校教諭一種免許、同二種免許を含む専攻の募集人員は合わせて585人となっています(令和6年4月度入学者選抜要項から)。 教員は長時間労働などが指摘され、人気が低迷しています。文部科学省の「公立学校教員採用選考試験の実施状況」によると、教員全体の競争率(採用倍率)は2000年の13.3倍をピークに下がっており、22年度は3.7倍。小学校教員の倍率は21年度の2.6倍から、22年度は2.5倍に下がり、過去最低になっています。 井沢部長は、「トップ3の大学でも採用者数は減ってきているので、教員を希望する人が少なくなっているのは事実でしょう。ただ、教員という仕事が世間で一目置かれる存在であることは間違いありません。大学側も教員の魅力を伝えたり、現場に行った時にできるだけミスマッチがないように、カリキュラムを工夫したりしています」と話します。 例えば、かつては実践的な授業は3、4年次に行う教育実習がメインでしたが、近年は1年次から教育現場に行き、子どもと触れ合ったり、教員の補助をしたりする授業を取り入れる大学が増えました。その先駆けになったと言われているのが、ランキング5位の岐阜聖徳学園大学教育学部が実施している「クリスタルプラン」という授業プログラムです。これは市町の教育委員会と連携し、1年次から4年次まで、教育現場で段階的に教員に必要な能力を養います。体験重視のプログラムで、文科省から資質の高い教員養成推進プログラム「教員養成GP(Good Practice)』に認定されています。 ランキング4位の文教大学、8位の明星大学、9位の玉川大学はいずれも関東の私立大学で、小学校教員養成に力を入れています。 「明星大学と玉川大学は教育学部のほかに通信教育課程を設置しており、ここで学ぶことで教員免許を取得できます。通信教育課程の定員はどちらも1000人を超えます(玉川大学教育学部教育学科の募集定員は1500人・編入学を含む)、明星大学教育学部教育学科の募集定員は2000人・編入学を含む)。これが教員採用数の多さにもつながっていると考えられます」(井沢部長)