【ウインターカップ2023】岐阜女子に敗れるも堂々の夏冬3位、札幌山の手・巻朋花キャプテンが決めたラストシュート
「ディフェンスで貢献できればと考えていました」
準決勝の岐阜女子戦。残り10秒からのラストポゼッションで、札幌山の手の巻朋花は左45度のポジションで両手を上げ、ボールを呼び込んだ。 髙橋優希からパスが渡ったのは残り1秒。残り0.4秒、体勢を崩しながら巻が3ポイントシュートを放った瞬間に試合終了のブザーが鳴った。バックボードに当たったボールがリングを通過するのを見届けると、巻はしゃがみこんで涙した。最終スコアは46-76。札幌山の手の2年連続の決勝進出は叶わなかった。 巻のこの日の3ポイントシュートスタッツは、13本試投の2本成功。上島正光コーチは、巻のシュートがこれだけ入らないのはなかなかないと話した。「ウチは巻と谷口(憂花)が入らなかったらこういう試合になってしまう。特に巻はあせって打っているのが見え見え。『入れなきゃ、入れなきゃ』って」と冷静な評価を述べつつ「でも責任感のある子だから(そうなるのも仕方がない)。それにシュートを打つのは彼女の仕事だからね」と、打ち続けた姿勢は咎めなかった。 巻自身にもシュートを打ち急いでいたという自覚はあった。「岐阜女子さんは全員自分たちより大きい。インサイドでは簡単に打てないのは分かっていたし、マークが空いたら打つということは全員で共有していました。でも点差が広がって、時間がなくなっていくうちに、ちょっとあせってしまった部分はあったのかなと思います」 加えて、巻には岐阜女子のスーパーエース・絈野(かせの)夏海とのマッチアップという大きなミッションも与えられていた。点取り屋とエースストッパーの兼任。負担は大きかったのでは?と尋ねると、「自分はオフェンスは3ポイントしか武器がないので、ディフェンスで少しでもチームに貢献できればと考えていました」と話し、「相手のエースを任されたので、そこで少しでも点数を抑えたいと思っていました」と、大きな誇りを持って大役に挑んでいたことを明かした。 事実、巻は最も警戒していた絈野の3ポイントシュートを2本に抑えることに成功している。「最後は絶対に自分が打って終わってやる」。ラストポゼッションは強い気持ちでボールを呼び込んだ。「入ったのはちょっと自分でもびっくりなんですけど、そういう気持ちも繋がったのかなと思います」と少し笑みを見せた。