目先の利益を優先する人が多すぎる…「不健康な人」と「健康な人」の考え方の「決定的な違い」
わたしたちはいつまで金銭や時間など限りある「価値」を奪い合うのか。ベストセラー『世界は経営でできている』では、気鋭の経営学者が人生にころがる「経営の失敗」をユーモラスに語ります。 【写真】人生で「成功する人」と「失敗する人」の大きな違い ※本記事は岩尾俊兵『世界は経営でできている』から抜粋・編集したものです。
醤油の味を楽しみたいのか、それとも…
〈醤油に刺身や漬物をひたひたに浸して食べる人がいる。 そうした人は醤油の味をつけた料理を食べたいのだろうか、それとも本当は醤油を飲みたいのだろうか。 ここで「いや、刺身も漬物も、本当は醤油を飲むための緩衝材なんだ」と主張したい人もいるだろう(健康診断で高血圧の項目が問題になるまでは私もその一人だった)。〉(『世界は経営でできている』より) 醤油の味を楽しみたいのか、大量の塩分を体内に取り込みたいのか、どちらなのだろうか。 当然、前者だろう。 塩分を摂りすぎの時代に、どのようにすれば良いだろうか。 〈減塩醤油を用いなくても醤油の味を楽しみつつ塩分摂取を抑える方法はある。 たとえば醤油を料理に刷毛で塗ったり、スプレーで散布したりするなどだ。高級寿司店で使われる調理法である。この方法なら醤油の味はそのままで醤油の使用量を抑えられる。 そもそも醤油は舌の表面にある味蕾と接して初めて味覚として意味をなす。だから味蕾と接しないほどの(ひたひたの)大量の醤油は「醤油の味を楽しむ」という目的に対して過大である。これでは無駄に塩分を摂取し無駄に健康を害するだけだ。〉(『世界は経営でできている』より)
不健康な人に共通する思考法
他にも、不健康な人に共通する思考法が見られるシーンを紹介する。 〈飲食行為においても、部分的・短期的利益優先型の全体的・長期的損失行動がみられる。 たとえば週にわずか一日でも休肝日を作るだけで肝臓の負担は減るというのに「今夜だけはどうしても飲みたい」という、どうせ明日も去来する感情に毎日身を任せてしまう。その結果、あるときにこれまで沈黙していたはずの肝臓が悲鳴を上げ、一生お酒を飲めなくなってしまったりする。 あるいはお金/時間がないからと、手軽かつ高カロリーで栄養価が低いジャンクフードばかりを食べてしまう。もちろん、短期的には安易に/安価に空腹感から解放されるジャンクフードには利益がある。しかしジャンクフードまみれの生活をしていると病気のリスクが上がり、やがては治療費が高くつく。〉(『世界は経営でできている』より) 手段と目的の順序を正しく考えないと、部分的・短期的な利益を優先する思考から脱却しないと、「人生の経営」には失敗してしまうのだ。 つづく「老後の人生を「成功する人」と「失敗する人」の意外な違い」では、なぜ定年後の人生で「大きな差」が出てしまうのか、なぜ老後の人生を幸せに過ごすには「経営思考」が必要なのか、深く掘り下げる。
現代新書編集部