「最終面接直前に『バイトがあるから』と辞退を希望した小嶋陽菜」「高校を中退して上京した大分の女の子」「前田敦子を見出した夏まゆみ先生」…元AKB48支配人が振り返る「一期生オーディション」秘話
原石を見つけるために片っ端に声をかけた
小嶋陽菜には手を焼かされた記憶がある。もともと「Harajukuロンチャーズ」というグループでの活動経験があった彼女は、純粋な素人の女の子というわけではない。 それでも声をかけた当時は芸能活動をしておらず、オーデションに参加してくれるということで一度は話がまとまった。頬の横でピースをする小嶋の写真は抜群に可愛く、ぜひとも加入してほしいとかなり期待していたのだ。 ただ、最終面接の直前になって、突然連絡が繋がらなくなってしまう。しかも、ようやく電話に出たと思ったら、この期に及んで「バイトがあるので行けません」と言い出した。仕事内容を尋ねると、原宿でアイドルの写真を売るらしく、「陽菜は責任感が強いから」と、バイトに行きたいと言う。 「いや君は、人の写真を売るより、自分の写真が売れるようになった方がいいんじゃないの?」 どうやら、あえて挑発気味に伝えたこの言葉が刺さったようだ。小嶋は最終面接の場に現れ、一期生メンバーとして迎えられることになった。 高橋みなみは、出会った場所が印象に残っている。声をかけたのが、ホリプロスカウトキャラバンのオーディション会場だったのだ。当時原石を見つけようと躍起になっていた僕たちは、オーデション帰りの女の子たちに片っ端に声をかける作戦を取っていて、話を聞いて興味を持ってくれたひとりがたかみなだった。ピンクの大きなリボンをつけたファッションは少々個性的だったが、目力があって、エクボも可愛らしかった。4月8日が誕生日というのも、なんだか縁を感じたポイントだ。 ただ、当時、一番びっくりしたのは、やっぱり前田敦子かもしれない。
歌もダンスも決して上手くはない
前田は初めて会ったときはそれほど特別な女の子には見えなかった。 オーディションで見せた歌もダンスも決して上手いわけではなかった。ただ、歌い終わったあと、前田が照れ臭そうに浮かべた笑顔に振付担当の夏(まゆみ)先生はなにかを感じ取ったようだった。最終面接が終わるなり、夏先生が「この子(前田)は絶対にメンバーに入れて」と言ったことを覚えている。 普段は気の抜けている前田だったが、ステージではまるで別人のようなオーラを放ち、誰よりも輝いてた。のちに劇場を観に来てくれた深作欣二監督も「この子はいつか俺の映画で使いたい」と唸るほどだった。 【連載を最初から読む】悠仁さまの「筑附」で落ちこぼれ、20歳で親から勘当→池袋のキャバクラの黒服に…元AKB48劇場支配人が告白する「激動の半生」
戸賀崎 智信
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