読み解くカギは"ちぐはぐインフレ対策"と"化石燃料への回帰"! トランプ復活で結局、日本経済はどーなるの!?
■株より米国債や金を買え! 続いては企業業績について。円安は製造業をはじめとする輸出企業に追い風となるが、今後はどうなる? 「トランプはすべての国に対して10~20%の関税引き上げを公約として掲げています。アメリカ人にとっては日本企業の商品が最低でも10%高くなるようなものですから、売り上げは落ち、利幅も圧迫されます。そのため、これまでのような恩恵を得るのは難しいと思います」(カツキ氏) 株価は? 「日本の株価は米国の株価に連動しているので、まずは米国株を見てみましょう。 2016年の大統領選では、トランプが当選したら株価が下がるといわれていました。ところがふたを開けてみると、株価は上がった。こうした背景もあって、今回は再選が決まる前からすでに上昇が織り込まれています」 トランプの当選確実が報じられた11月6日には、米国の代表的な株価指数であるS&P500が急騰。それにつられる形で、日経平均株価も一時1100円上昇した。 「この傾向はしばらく続くでしょうから、これに連動して日本株も上昇するはずです。ただ、先に説明したとおり、関税が引き上げられれば円安の恩恵が従来に比べて薄れる点には注意が必要ですね。 また、米国株は現状、かなり割高な水準です。S&P500の予想PER(株価収益率。数値が大きければ大きいほど割高)は過去平均で15倍前後ですが、足元は20倍を超えており、ITバブル前後に近い水準です。どこかで一度大きく下落し、そのあおりを受けて日本株も下落する局面が来るでしょう」 株はダメ。景気もこれから悪化する可能性がある。そんな中、自分の資産を守るにはどうすればいい? 「大きなリターンを狙えるわけではないですが、一番オススメなのは米国債です。例えば10年債券の利回りは約4.4%にも上ります。低リスクでお金を増やすなら、これが一番無難でしょう。 あとは金。今年に入ってからのパフォーマンスは目覚ましく、40%強のプラスと米国株を上回っています。インフレになれば金は買われますし、インフレを抑え込むためにFRBが利下げをしても、実は金にとってプラスになります。 利下げをすればドル安になりますから、相対的に金の魅力が増すわけですね。どっちのシナリオになっても勝率が高いという意味で、今後も手堅い資産であり続けるでしょう。 最後に、ビットコインも有力候補です。債券や金に比べると値動きが激しいのが難点ですが、トランプが推進派なこともあって、これからの上昇に期待が集まっています」 全体的に暗~い予想となったが、その起点となったのは米国のインフレ。今後の動きにぜひ注目してほしい。 取材協力/日野秀規 写真/共同通信社