原付免許で125ccバイクの運転も可能に!? 2025年11月までの法改正で新基準導入へ!
比較試乗実験で見えてきた新基準原付のメリット・デメリット
最高出力を50ccクラスと同等まで抑えた125cc以下のバイクの安全性や運転性、乗り心地はどのようなものなのか。習熟運転者や一般参加者による試乗会での走行評価についても確認しておこう。 習熟運転者からは、免許の実技試験を担当する技能試験官12名が、現行原付(ベンリィ・ギア・タクト・C50)と、新基準原付 (出力を制御したPCX・リード125・C110・Vision110・CB125R)、現行小型二輪(リード125・CB125R・C110)の比較走行を運転免許試験場内で実施。コース内の発進・停止から坂道走行、スラローム、引き起こし、押し歩きといった項目に対し「3」を“原付と同等”とした5段階で評価した。 その結果、技能試験官12名のアンケート調査では、新基準原付は現行原付と「ほぼ同等」という結論が出ている。特に走行中は新基準原付の方が車体が大きい分、安定性が増すという意見が多い印象だ。ただし、各モデルに多少の差異はあるものの、全体的に新基準原付はトルクが薄く、発進時(特に坂道)にフラつきやすさを感じたり、ブレーキ制動が効きすぎると指摘する声も挙がっている。このあたりはメーカーの調整次第で印象が変わりそうだ。 一般参加者からは一般原動機付自転車を運転できる免許保有者21名で走行評価を実施。内訳は女性12名、男性9名で年齢は21~72歳まで、身長は150~177cmまでとばらつきを持たせ、21名のうち16名はバイクの運転が未経験だという。こちらは前者とはコースや評価項目が異なるが、習熟運転者と同様に5段階評価で原付と新基準原付の比較が行われた。 21名の一般参加者のアンケート調査では、現行原付と「同等」もしくは「原付よりも運転操作が少し容易」という結果となった。また、転倒やパイロンへの接触等の安全に関わる問題は生じなかったという。 まとめると、習熟運転者と一般参加者の両者の総評としては、「経験を問わず新基準原付は原付と同等以上に運転しやすい」ということになった。 最後に、この新基準原付が新しく加わることでのメリットとデメリットについて考えてみようと思う。 まず、メリットとして、メーカーの開発ハードルが下がることで、新モデルの開発・市販化が期待できる。原付ユーザーの選択肢が増えることはよいことだろう。また、車両サイズや車重が増すことで、走行中の安定性が向上する点もメリットとなる。ただし、発進時(坂道含む)のふらつきや、狭所での取り回しに、引き起こしにくさといった短所も含まれるため、サイズや車重の増加による評価は個人差がありそうだ。 次にデメリットだが、車両ベースが125ccクラスである場合、50ccクラスよりも高価になる可能性が非常に高いため、原付が20万円以内で買えない、という状況が想像できる。また、新基準原付が新区分に加わると、さらにルールが複雑になる印象だ。単純に125ccのバイクに原付免許で乗れるものと勘違いしたり、二人乗りしてしまう人も現れるだろう。このあたりの課題をどのように解決するのかにも注目していきたい。 警察庁ではパブリックコメントを募集し、2025年11月の新しい排ガス規制が原付に適用されるまでに法改正を目指す。
文=KURU KURA編集部 資料=警察庁