【MLB】 佐々木の契約が引き起こす思わぬ余波 米有名記者がMLBを批判
ポスティングでメジャー挑戦を目指す佐々木朗希の去就は、思わぬ余波を引き起こすかもしれない。「ジ・アスレチック」の有名記者ケン・ローゼンタールは日本時間20日「佐々木朗希が契約するとき、他の国際アマチュア選手は苦しむかもしれない。彼らはそうすべきではない」と題したコラムを投稿。佐々木の去就が及ぼす影響について解説している。 23歳になったばかりの佐々木は、MLBの25歳未満の選手の国際FA契約金プールのルールに抵触する。つまり、獲得を目指す球団は、佐々木の契約金を国際FA契約金プールの中から捻出しなければならない。佐々木を獲得する球団は、佐々木のために契約金プールのほぼ全額を注ぎ込むことが確実で、そうなれば例年その契約金プールを使って契約している中南米のアマチュア選手との契約を諦めなければいけないだろう。 ここで問題を生み出すのは、国際FAにまつわるMLBの悪習だ。実は国際FAで契約するアマチュア選手は、契約が可能になる16歳までに球団と契約の口約束を結んでいるのが通例。特に現行の国際FA契約金プールの上限が厳格になった2017年以降は、球団による囲い込みはさらに加速し、球団は12歳になったばかりの少年と契約の口約束を交わすことさえあるという。もちろんこの口約束は厳密には禁止されている行為であり、拘束力はない。 つまり、佐々木と契約してそこで国際FA契約金プールを使い果たした球団は、契約の口約束を数年来にわたって交わしていたアマチュア選手との契約を反故にするだろう。貧しい家庭出身の選手も多い中南米のアマチュア選手にとって、その契約金は人生を変える金だ。数年にわたって球団に囲い込まれていたにもかかわらず、急にその口約束が反故になり、将来が不確かになってしまうのだ。 もちろんローゼンタールは「これは、佐々木が無制限フリーエージェントになる(まで待つ)べきだと言っているのではない」と批判の矛先を佐々木に向けているわけではなく、腐敗したシステムを放置しているMLBに対して批判を行っている。ローゼンタールは現行の国際FAルールなどを定めた労使協定は2026年限りで失効することから、次の労使協定で国際ドラフトを導入すべきだと持論を展開した。