謎の社内ルールが「伝統」か「悪しき習慣」かを見極め、組織を活性化する方法
社風は、異を唱えるヤツが出てくると受け継がれてゆく
では、職場の妙な慣習に対して、私たちはどう向き合っていけばよいのでしょう? その答えは、「今すぐあなたが異を唱えてみる」です。 なぜなら、社内や業界ルールは「破壊者の登場」によって“使えるもの”になっていくし、良い伝統や社風がさらに発光していくからです。 吉本興業には、「漫才師はスーツを着ないとダメ」という暗黙の掟と、「髪型をころころ変えるとキャラが定まらない」という教えがあります。 しかし僕は、あえて異を唱え、「好きな服を着て、好きな髪型にすればいい」と生徒らに伝えました。 そのエビデンスはこうです。 昨今のお笑いファンは、インスタをはじめSNSで推しの生活をチェックしています。なのに芸人が、同じ色のスーツ&髪型だと日々のタイムラインは味気なくなります。 さらに、K-POPアイドルをはじめ令和のアーティストは、同じ楽曲を披露するときでも、毎回さまざまな衣装を着て、まったく違うヘアスタイルや髪色で歌唱。若者はそのファッションをこぞってチェックし、彼らに愛着を抱いていく。 なぜ、芸人だけが変容しないのか……? 僕の持論は、若手芸人に「考える機会」を与え、その中で、EXITのような渋谷系ファッションで漫才をするコンビが生まれ、いっぽうで「いろんな服を選択してみたけど、やっぱりスーツがかっこいい」と、“漫才師のスーツの良さ”を再発見してくれる若手も増えました。 社の伝統や精神の耐用年数をあげていくには、こういった“異論によって研磨していく”ことも必要なんですね。 それでは、また来週お逢いしましょう。 桝本 壮志/Soushi Masumoto 1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出。
COMPOSITION=古澤誠一郎 TEXT=桝本壮志