トランプ氏“3期目説”早くも浮上「任期を制限する憲法条項」に“抜け穴”?「憲法会議」で改正という“奥の手”も
トランプ政権第2期もまだスタートしないというのに、3期目の可能性がワシントンで取り沙汰され始めた。 【画像】タイム誌2024年の「今年の人」に選ばれ、ニューヨーク証券取引所で取引開始の鐘を鳴らしたトランプ氏
「任期が連続しない大統領」は任期を制限されない?
トランプ政権第1期で首席戦略官を務めたスティーブン・バノン氏は15日、ニューヨークの「若い共和党員クラブ」の年次パーティで演説し、トランプ次期大統領に近い法律家マイク・デイビス氏の見解を引用して「大統領の任期を2期に制限する憲法条項は、連続せずに就任する大統領にも適用するとは書いてない」と話した上でこう言った。 「そう具体的に書いてないのなら、もう一回2028年に(トランプを推挙することを)やってもいいのじゃないか?君らはその準備ができているかい?トランプ2028!やろうじゃないか!」 ちなみに、合衆国憲法には起草時に大統領の任期を規定する条項はなかった。建国の父ジョージ・ワシントン初代大統領が3選を固辞して引退して以来、米国の大統領の任期は2期限りとすることが不文律になっていた。その後、32代のフランクリン・ルーズベルト大統領の時代になって「大恐慌」と「第2次世界大戦」に対応するために例外的に4選まで認められたが、同大統領の死後「やはり多選は慎むべき」という声が上がり、大統領の任期を規制する合衆国憲法修正第22条が1951年に制定された。その第1項にはこうある。 「何人も、大統領の職に2回を超えて選出されることはできない。他の者が大統領として選出された任期の間に、2年以上大統領の職を保持しまたは大統領の職務を行った者は、大統領の職に1回を超えて選出されることはできない。(以下省略)」(アメリカンセンター訳) これを平たく言い直すと「誰も大統領に2回以上は選出できない。大統領が死亡などで退任し代行者が後を継ぐような場合、前任者の残る任期を2年以上果たせば、代行者の残る任期は1期になる」ということになる。どこにも「任期が連続しない大統領には適用しない」とも「する」とも書いてないのだ。 例えば、1963年11月暗殺されたジョン・ケネディ大統領は任期が約1年2カ月しか残していなかったので、後継のリンドン・ジョンソン大統にこの制限は当たらず、ケネディ大統領の残る任期約1年2カ月+自らの2回の任期8年=9年2カ月大統領職を務めることができるはずだった。(現実には、ジョンソン大統領は1968年の再選選挙には出馬しなかった) 大方の憲法学者は、「大統領が2期以上の再選を探るような修正第22条をダメにする法律の抜け穴は存在しない」と解釈している(「ハフポスト」12月17日)ようだが、「書いていないことは議論で決められる(unwritten rules can be open to debate)」というのが米国式の発想なのか、バノン氏のような解釈もまかり通ることになる。