「立憲全勝」の衆院補選、「惨敗」自民党と並んで大ダメージを受けた維新の会
4月28日に投開票された東京15区、島根1区、長崎3区の衆院議員補欠選挙では、いずれも立憲民主党の候補が勝利した。3選挙区とも元は自民党が議席を押さえていたところだが、今回自民が候補者を擁立したのは島根1区だけ。他は公認候補すら立てることができなかった。 【写真】衆院3補欠選挙の結果を受け、取材対応に臨む日本維新の会の馬場伸幸代表=4月28日夜、大阪市の党本部 まず東京の下町の江東区が選挙区である15区には9人が立候補。混戦を制したのは、立憲民主党の元江東区議・酒井菜摘氏で、4万9476票を獲得し、2位の元参院議員・須藤元気氏(無所属)の2万9669票、3位の維新公認の新人・金沢結衣氏の2万8461票に差をつけての当選だった。 ベストセラー「五体不満足」の著者だった乙武洋匡氏(無所属)は1万9655票で接戦の仲間入りすらできなかった。 「過去に女性問題で週刊誌に叩かれていたこともあり、彼に対して厳しい見方が多かったのが票に現れてしまったということでしょう。今後も選挙は難しいと思います」(全国紙・政治部デスク) ■ 最低の投票率 しかし、3候補が当選した立憲民主党にしても、「めでたい」と浮かれている場合ではない。なにしろ今回の3地区の補選の投票率が、過去最低を下回る厳しい数字になったからだ。 東京15区=40.70%(2017年の55.59%を大幅に下回る) 島根1区=54.62%(2014年の57.94%を下回る) 長崎3区=35.45%(2014年の51.58%を大幅に下回る) 長崎3区に至っては自民党から候補者が出ていないことも影響していたのかもしれないが、立憲と維新の公認候補の一騎打ちであっても過去最低の投票率の数字を16ポイントも下がっているというのは日本の将来に暗雲が立ち込めていると言っても過言ではない。
■ 解散カードは事実上封印 東京15区以外の選挙区を観てみると、「保守王国」島根1区では立憲で元参院議員の亀井亜紀子氏が8万2691票で当選。一騎打ちだった自民公認で公明推薦の元官僚の錦織功政氏の5万7897票に差をつけた。 長崎3区は立憲公認候補である山田勝彦氏と維新公認の井上翔一朗氏との一騎打ちになったが、結果は5万3381票を獲得した山田氏が、井上氏の2万4709票にダブルスコアをつけて勝利した。 この結果、岸田首相にどのような影響を与えるのだろうか。 「現在の国会は6月終盤まで開催されますが、その後の解散の可能性が高いと見て各党の国会議員は毎週選挙区に戻って活動をしていました。ところがこのまま解散したら自民惨敗の予想がされる状況となったいま、岸田首相も解散のカードを切ることができないと見られるようになりました。 岸田政権にとって一番大事なのは9月の総裁選で再選すること。今国会閉会後に解散して総選挙になだれ込めば、惨敗して総裁選に出馬することもできなくなる可能性が高い。結局、党勢回復に向けて何も策を取らないまま、総裁選での再選だけを考えて動くことになりそうです」(前出・政治部デスク)