元従業員が告発! 「山崎製パン」デニッシュ消費期限偽装の手口 「手作業でパンの袋を全部開封して翌日分として再包装」【スクープその後】
「予算」に追われる社員
度重なる工場での死亡事故、過酷な労働環境など、数々の闇が「週刊新潮」で報じられた「山崎製パン」。元社員の証言により、「消費期限の偽装」にまで手を染めていたことも明らかになった。1月には、ヤマザキグループを率いる飯島延浩社長(83)の次男で、副社長を務めていた佐知彦氏が、山崎製パンの本社内で亡くなるという衝撃のニュースも飛び込んできた。そんな状況でも定番商品「薄皮シリーズ」の新商品「薄皮たまごパン」を発売して大ヒットさせるなど、相変わらずのガリバー企業っぷり。おいしいパンを前に、消費者もこの恐ろしい出来事の数々を忘れてしまったのか……。 【写真をみる】「消費期限偽装」要注意の商品は? *** (以下、「週刊新潮」2024年5月16日号をもとに加筆・修正しました。日付や年齢、肩書などは当時のままです。)
山崎製パンの工場では、約10年で4名が事故死しているものの、同社はそれを公表すらしていない。わが国を代表する食品会社にあるまじきコンプライアンス意識の低さである。この問題についてはすでに「週刊新潮」(4月18日号)で指摘した通りだが、そうした同社の“体質”は、消費者に直接関わる部分での驚くべき不正も招いていた。 「商品、部門、工場など、さまざまなカテゴリーごとに予算があり、社員は常に予算に追われている状態です」 と、山崎製パンの元幹部が明かす。「予算」とは、山崎製パンの社員に課されるノルマのことを指す同社独特の用語である。 「営業担当の社員が自腹を切ることもあります。店に納入したお菓子などを予算達成のために全部自分で買ったりするのです。また、“キワモノ”と呼ばれる、その時期にしか販売しないようなものを自分で買うこともあります。例えば、5000円もする鏡餅を小さな店に置かせてもらったけれど、高くて売れないので最終的には自分で買う、といったケースもあります」(同)
「指示を直接出すのは工場の係長」
次のような不正が行われるのも、「予算」の圧力が強いからであろう。 「私が働いていた工場では、消費期限を変えてしまう、ということをやっていました。消費期限の偽装と言ってもいいでしょう」 そう語るのは、山崎製パン阪南工場の元従業員だ。 「注文を受けてパンを製造したものの、発注元が在庫を抱え過ぎていて、“やっぱりいらないです”と言われることがあります。そういう場合、手作業で商品の袋を全部開封してパンをベルトコンベアーに流し、翌日の納品分として包装しなおすのです。当然、消費期限の表記も繰り越されます。1回に包装し直すのが100個や200個という数になることもありました」(同) そうした手法で消費期限偽装が行われていたのは、主に「デニッシュブレッド」という商品シリーズ。2~3日に1度ほどのペースで行われていたというから、常態化していたと言っても過言ではなかろう。 「指示を直接出すのは工場の係長です。現場の従業員は当然、それが消費期限の偽装に当たることを認識しています。しかし、それを係長に問い詰めても面倒なことになるだけなので、皆黙って従うのです」(同)