2030年に「世界一のユートピア」に⁉…日本の最先端「ニセコ」の輝かしい近未来
今や世界中から富裕層がこぞって訪れる冬の高級リゾート地となった北海道ニセコ。どうやってニセコはインバウンドをものにしたのか。海外の富裕層を取り込む外国資本の戦略、日本の観光に足りていないものとは何なのか。ニセコの成功の背景を、リゾート地・富裕層ビジネス・不動産投資の知見をもつ筆者が、これらの謎をひも解く。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション *『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英著)より抜粋してお届けする。 『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』連載第8回 『今こそ「全国一律の地方創生をやめる時」…「淘汰される地方」と「東京独立運動」への警鐘』より続く
ニセコの近未来像
2030年の正月。地方自治体の合併促進特例法を利用して、俱知安町とニセコ町による「ニセコ市」が誕生してはや5年が経過した。公募で上位にあった「ニセコ駅」「ニセコリゾート駅」を押しのけ命名された、北海道新幹線の「ニセコゲートウェイ駅」は不評ながら、すでに前年に前倒し開業しており、「新ニセコエクスプレス」が東京駅とダイレクトに4時間半で結んでいる。札幌冬季オリンピックもあと1ヵ月で開幕となる。来年秋のG20首脳会議の開催もニセコに決まったばかりだ。 国の観光特区にも指定されたニセコには市営の飛行場が完成し、小型のプライベートジェットが海外からダイレクトに離発着し、併設されたヘリポートでは、ヘリコプターによるバックカントリースキーツアーに周遊観光や、新千歳空港とのシャトル便で大忙しだ。 一方で、環境や地元住民に配慮した政策も法令化され整えられた。ひらふ地区などスキーエリアでは容積率が大幅に緩和され更なる集積が進む一方、それ以外の地域では、立入禁止区域や自然保護区域が多数設定され、ランダムで無計画な新規の開発は厳しくなったことで、地価は更に上昇し続けている。今やフランスのクーシュベルや米国のベイルと毎年世界一を争うような価格帯だ。