<永遠のミューズ 薬師丸ひろ子特集>「セーラー服と機関銃」「探偵物語」「Wの悲劇」を一挙放送 あらすじと見どころに迫る
BS松竹東急(全国無料放送・BS260ch)では、「永遠のミューズ 薬師丸ひろ子特集」と題して、薬師丸ひろ子が出演する映画7作品を一挙放送中。本記事では、放送ラインナップの一つ「セーラー服と機関銃」を中心に、特集後半に放送される3作品のあらすじや見どころについて紹介していく。 【写真】不貞腐れたような表情をしながらポケットに片手をつっこむ薬師丸ひろ子“新井直美” ■女優・歌手として活躍を続ける薬師丸ひろ子 薬師丸は、1978年、中学2年生の時に映画「野生の証明」で女優デビュー。ブレイクのきっかけは1981年に公開された主演映画「セーラー服と機関銃」で、突然ヤクザの組長になった女子高生・星泉を演じ世間から注目を集める。その後、「探偵物語」や「メイン・テーマ」などの作品にも出演。2005年公開の映画「ALWAYS 三丁目の夕日」では、日本アカデミー賞で最優秀助演女優賞を、「キネマ旬報ベストテン」で日本映画助演女優賞を受賞した。 そんな薬師丸は女優としてのみならず、自身の出演した映画の主題歌を中心に楽曲をリリースし、歌手としても活動。「セーラー服と機関銃」での歌手デビュー以降も、「探偵物語」「メイン・テーマ」「Woman “Wの悲劇”より」などの映画主題歌をリリースし、透き通るような唯一無二の歌声で人気を集めた。 また2021年には歌手デビュー40周年を迎え、「NHK紅白歌合戦」にも出場。今年1月には6年ぶりのオリジナル・アルバム『Tree』をリリースするなど、俳優活動とともに音楽活動にも力を注いでいる。 ■「カイカン…」薬師丸のイメージを一変させた 「セーラー服と機関銃」 11月15日(金)夜8時からは、薬師丸がブレイクのきっかけとなった映画「セーラー服と機関銃」(1981年)を放送。“女子高生がやくざの組長を襲名する”というインパクトの大きいストーリー性が当時大きな話題になった。 父親を亡くしひとりぼっちになった女子高生・星泉(薬師丸)が火葬場から戻ると、マユミと名乗る女性が父親の手紙を持って待っていた。その翌日、泉の高校には黒い背広を着た男たちが並んでおり、泉は組員たった4人のおんぼろやくざ・目高組の組長を襲名することに。泉は、これまで全くの無縁だった裏社会で、麻薬事件に巻き込まれてしまった組を救うために機関銃をぶっ放す。そのうち物語は父親を殺した犯人の真相に迫り、得体のしれない刑事や少年探偵団なども巻き込みながら奇想天外なパニックを繰り広げていく――。 セーラー服を着た薬師丸が機関銃を片手に相手暴力団の事務所に乗り込み、弾丸の雨をまき散らしながらうっとりとした表情で「カイカン…」と呟く姿は、これまでの薬師丸のピュアで幼さの残るイメージを一変させた。 ちなみに薬師丸は、本映画でデビュー曲となる同名主題歌をリリース。ビブラートを使わない透き通った歌声は、アイドル全盛期だった当時では珍しく、薬師丸の清純派女優としてのイメージをより確固たるものにした。そんな本作は、2006年に長澤まさみ主演でドラマ化、2016年には橋本環奈主演で映画化など、たびたびリメイクされているが、いずれも主題歌は主演女優によって歌唱されており、その歌い方は薬師丸を踏襲するものとなっている。 ■松田優作さんとのキスシーンに挑戦した「探偵物語」 11月16日(土)夜9時からは、赤川次郎が薬師丸主演での映画化を念頭に置き書き下ろした小説を映画化した、「探偵物語」(1983年)を放送。当時大スターだった薬師丸と松田優作さんが共演したことで世間の注目を集めた。 1週間後にアメリカへ旅立つ主人公の新井直美(薬師丸)の父親の元秘書・長谷沼は、辻(松田さん)という探偵に直美のボディガードを依頼する。そんなある時、辻山の別れた妻が「愛人でやくざの跡取りの男が殺された」と辻山のもとに駆け込んできて――。 本作は、殺人事件に巻き込まれた辻山と直美が、事件を解決し愛を知っていくまでを描いている。薬師丸と松田の空港での長いキスシーンは見どころの一つと言えるだろう。 11月18日(月)夜8時からは、薬師丸特集ラストとなる映画「Wの悲劇」(1984年)を放送。夏樹静子の同名ベストセラー小説をもとに、“W”の1文字に隠された愛と憎しみを描いている。 劇団・海の次回公演が「Wの悲劇」に決まった。キャストには羽鳥翔(三田佳子)、五代淳(三田村邦彦)という二枚看板を揃え、演出には鬼才・安部幸雄(蜷川幸雄さん)が担当することとなった。また、劇中で事件のカギを握る女子大生役を劇団の若い研究生から選ぶことになり、静香(薬師丸)は張り切ってオーディションに挑むが、惜しくも落選してしまう。それでも女優を目指すうちに静香はその後ある事件に巻き込まれ、「Wの悲劇」の主役を演じることになるのだが――。 小説を劇中に利用するという斬新な演出が見どころの本作。薬師丸は虚構を生きる“女優”を生々しく演じ、「第9回 日本アカデミー賞」で優秀主演女優賞を受賞している。