パーツが出来上がるのが遅過ぎる! ウイリアムズ新加入のパット・フライCTO嘆く「こんなのは見たことないし、二度と経験したくない」
昨年11月にウイリアムズに加入し、同チームのチーフ・テクニカル・オフィサーを務めるパット・フライは、2024年用マシンのパーツが揃うのがあまりにも遅すぎたため、今後改善の必要があると主張する。 【動画】共闘ふたたび。コマツ、ウイリアムズF1とパートナーシップを締結 1980年代後半にF1の世界に足を踏み入れたフライは、ベネトンやマクラーレン、フェラーリといった名門チームを渡り歩き、辣腕を振るってきた。そして昨年の11月にウイリアムズに加わり、技術部門を率いていく立場となった。 しかしフライ曰く、ウイリアムズの2024年マシンFW46のパーツが揃うのはあまりにも遅かったという。これは彼がこれまで所属してきたどのチームよりも遅かったため、チームの文化や業務のプロセスを変える必要があると警鐘を鳴らした。 「我々がマシンを作り上げる手法は、普通のモノとはかなり異なっている」 そうフライは語る。 「そしてそれは、あまり効率的なモノではない」 「全てが遅過ぎる。何らかの理由があって仕事を遅らせているわけではない。私は早い段階で、多くのモノがあることに慣れているんだ。フロアはできるだけ遅くしたいものだ。空力パフォーマンスを発揮する上で最も重要な要素だからね。そしてコスト上限があるので、ひとつしか作らない。そのひとつは、レースを戦うパーツになるんだ」 「しかし我々は、ただパーツを入手するのが遅いだけだ。そういうのは見たことがない。そういうのは二度と経験したくないね。ジェームス(ボウルズ代表)も同じ経験を二度としたくないだろう」 フライ曰く、空力パーツは早い段階で承認されていたものの、その製造に長い時間がかかったため苛立ったと明かした。 「そういうのは、様々な意味で負担になる」 そうフライは言う。 「これまでと比較しても、全ての空力パーツは、早い段階で設計が完了した。しかし、まだそれを入手するのに苦労している。作らなければいけないパーツは、まだ山ほどあるのだ」 「コストキャップに関する効率という面でも良くない。だから、我々は自分たちのことを傷つけることになってしまうんだ。つまり全ては我々の取り組み方、我々が持っている文化にかかっていると思う」 「我々は3つのレギュレーション全てを最適化することについて、より賢明に考える必要がある。今は財政面を最適化する必要がある。我々がなんとかやってのけたことは、非常に高くついた。だからこういうのは二度と起きないようにすることが最適だ。同じようなことが二度とないように願っている。来年、ここに来て同じことを言っていなければいいのだけど……」 ボウルズ代表は、この問題の予兆を最初に感じたのは、2023年にFW45のアップデート状況を見た時だと認めた。 「昨年、私がチームに加わったのは2月20日だった。クルマはもう出来上がっていたんだ」 フライの見解について尋ねられたボウルズ代表はそう語った。 「私が見ることができたのは、アップデートだった。それはマシンを最初に組み上げる時と比べると、実に軽微なモノだ」 「マシンを組み上げる時には、20000個ものパーツが2週間以内に集まる。アップデートは時には大規模なモノになるけど、フロアやフロントウイング、リヤウイングなど何であれ、マシンを最初に組み上げる時に比べれば、より限定された量になる。その時にもこの問題の兆候があったが、この冬ほどではなかった」
Adam Cooper
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