訪日外国人驚かす「浴室乾燥機」-環境に優しい日本の洗濯文化
(ブルームバーグ): 洗濯物の乾かし方を巡り欧米間には溝がある。欧州は自然乾燥が主流で洗濯ラックに並べたり屋外に干したりするが、北米の家庭はほとんどが自宅の洗濯乾燥機を利用する。
その差は明確だ。欧州で最も洗濯乾燥機の利用が浸透しているデンマークですら機械のよる乾燥は28%にとどまり、8割と推定される米国を大きく下回る。
こうした欧米間の違いは何十年も続いている。だが、日本を訪れた欧米人は全く別の乾かし方を目にし驚くことが多い。訪日外国人が出会うのは電化製品と家の一部が一体化した独創的な装置「浴室乾燥機」だ。
日本の浴室でこの装置が効果的なのは、その独特な設計にある。浴室とトイレのスペースは通常、非常にコンパクトだ。トイレは独立した個室となっており、浴室には自立型のシャワーと、バスタブのスペースがあるだけだ。
プラスチック素材で覆われた壁とぴったりとしたドアを備えた浴室は、効率的に暖めるのにぴったりの狭さで、一種のキャビネットとして機能する。
中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」でも、浴室乾燥機の仕事ぶりにたびたび驚きの声が上がっている。洗濯乾燥機と比べると、エネルギー消費量が少ないため環境にも優しい。
また、高温と機械の激しい回転が衣類に与えるダメージも軽減される。タイマー機能を使えば、朝出かける前に干した洗濯物が帰宅後にはシワもなくカラッと乾いており、すぐに着ることもできる。
日本の全ての家庭に浴室乾燥機が設置されているわけではないし、毎回使うというわけでもない。依然として7割が外干しだ。
洗濯物を屋外に干すことは、直射日光が雑菌を殺すという広く浸透、かつ正しい考えを反映しているだけでなく、衣類へのダメージ、マイクロファイバー汚染、洗濯乾燥機の使用に伴う膨大なエネルギー消費を避けることができる。
次の衝撃
目新しい機械好きの現代日本でも、財布に優しいローテクな外干しは深く根付いている。手押し車やトラックで竹ざおを売り歩くさおだけ屋は、昔から見慣れた光景だった。