訪日外国人驚かす「浴室乾燥機」-環境に優しい日本の洗濯文化
今ではたいてい金属製だが、窮屈な住環境の都市生活者でも物干しざおを愛用している人は多い。日本には洗濯の乾き具合を示す指数の天気予報図があるくらいだ。
ただ、非常に寒かったり、湿度が高かったりして、外干しが難しい時には、浴室乾燥機の本領が発揮される。なぜ日本以外の国がこの考え方の良さに気づかないのか不思議だ。
これまた日本の発明であるTOTOの温水洗浄便座「ウォシュレット」が普及させたトイレアタッチメントが、米国の高級住宅所有者の間でカルト的人気を誇っているのとは違って、浴室乾燥機の普及には大きな障壁がある。
日本では、乾燥暖房機が浴室の換気システムと一体化しているため、設置オプションが複雑になっている。さらに、このシステムを経済的に稼働させるには非常に狭いスペースが必要だ。
米国人が好む洗濯乾燥機が広々としたバスルーム嗜好(しこう)に合っていることを考えると、ハードルをクリアするのは容易ではない。
韓国生まれのソフトウエアエンジニアで、日本で12年間過ごした後、2015年にニューヨークに移住したキム・ジョンワンさんは、2つの異なる洗濯文化圏で生活し、そこに根本的に異なる世界観を見いだしている。
ブルームバーグ・シティーラボに対し、「日本では、多くの製品が無駄や環境への負荷をできるだけ少なくすることに重点を置いているのに対し、米国の製品は効率にこだわる傾向がある」とキムさんは言う。
日本のような洗濯の流儀に近づこうとすれば、米国で実際に普及しつつある家電製品で、独立型の洗濯物干しキャビネットを買うことも一手だ。省スペースの工夫はないものの、電力を多く消費し、繊維くずをまき散らす洗濯乾燥機より衣類(そして地球)に優しく、米国の家庭にも合うだろう。
さらに、こうした装置が標準的な家電品の一部になれば、欧米人は日本の洗濯文化から生じる可能性のある次の衝撃に備えることができるかもしれない。温水洗いが普通の海外に対し、日本の洗濯機は冷水洗いが基本だ。