【2024インターハイ】スターターの5人が強力な美濃加茂。バックアップの底上げがウインターカップ制覇へのカギ
エブナ・フェイバーというフィジカルの強さと高い運動能力を兼備した留学生を擁する美濃加茂だが、強さの源は日本人選手たちのシュート力にある。準々決勝で開志国際に快勝した時には、3Pが40%、2Pが46%という成功率を残していた。
準決勝の福岡大附属大濠戦は、3Pも2Pも40%以下に終わった。しかし、アグレッシブに攻め続けたことで18本のフリースローをもらって17本成功。2Q終盤にこの試合最大となる10点のリードを奪ったが、逆転負けを喫した昨年のウインターカップ準々決勝同様、福岡大附属大濠にじわりじわりと差を詰められる展開になった。
ウインターカップと違う結果をもたらしたのは、ショットの決定力。3Q中盤に後藤宙の3Pショット、4Q中盤に関健朗がドライブから決めたレイアップは、いずれも1点差にされた後のオフェンスで生まれたもの。藤田大輝が2本連続で3Pショットを決めたことは、美濃加茂が福岡大附属大濠の追撃を断ち切った点で大きな意味があった。林龍幸コーチはこう振り返る。
「4(藤田)と7(関)が4Qの一番大事な時間帯に自分を見失わず、点を取りに行った姿勢が良かったなと思う」
フェイバー、後藤、深見響敏はいずれも昨年のスターターで経験も豊富だが、藤田と関のステップアップは、76対68でチーム史上初の決勝進出を果たすことができた大きな理由の一つ。緊迫した場面であっても冷静にプレーしていたことは、林コーチが「良くも悪くも高校生っぽくなく落ち着いていて、いろいろなところを見ながらやっていた」と評価したことでも明らかだった。
東山との対戦となった決勝は、フェイバーが試合序盤にインサイドで2度フィニッシュするなど、いい流れで試合に入れたと思われた。しかし、福岡大附属大濠戦はスターター全員が40分間プレーした影響もあり、3Pが22本中2本成功とショットの精度が著しく落ちていた。
また、決勝の舞台が初めてで緊張したのか、林コーチが「ガツガツ行けたらよかったのに、なんか自然と下がってしまった」と話すなど、受け身になってしまった時間帯でリードを奪われ、後手後手の展開になってしまったのである。その典型と言えるシーンが、東山のエースである瀬川琉久をかなり警戒していた中で、コーナーからカットしてきた南川陸斗に3度レイアップを決められたことだった。