菜々緒「鷹野のように生きなさいと言われている気がした」 主演ドラマ『無能の鷹』への想いを語る。単独インタビュー
「『鷹野のように生きなさい』と言われている気がした」
―――鷹野ほど仕事ができないと、ともすると視聴者が見ていてイライラしてしまうキャラクターになりかねないと思います。ですが、ドラマを見ていると、どこか嫌いになれない愛おしさもありました。 「彼女の持つ素直さや愛嬌が、愛されるキャラクターに寄っていってくれたと思います。鷹野はわからないことに知ったかぶりしたり、自分を偽ったりしません。悪気のない子供のように、間違えたり失敗したり怒られたりしても、憎めないところがある。そういう純粋さ、子供のあどけない感じを意識しながら演じていました」 ―――確かに鷹野は自分を良く見せようという考えがありませんよね。実生活でも彼女から学べる部分は多い気がします。 「鷹野は自分自身を大切にしていて、嘘がないんです。第1話で『私がこの会社を必要としている。だから会社に必要とされてるかは考えないようにしてる』というセリフがあって、響いた人も多かったかと思います。生きていると、どうしても学校や会社、家庭など外側に意識が向きがちだけど、彼女は自分自身がどうありたいかを考えて行動している。予知できないもの、未知なことって誰でも怖いはずなんですが、そこに飛び込むことができるのが彼女のすごいところだと思います」 ―――菜々緒さん自身、鷹野を演じたことで何か心境の変化はありましたか? 「仕事に対しても自分に対しても迷っている時期に鷹野ツメ子と出会って、『鷹野のように生きなさい』と言われている気がしました。自分自身が鷹野を演じて感じたものもエッセンスになりましたし、見ている方にも元気を与えられたり、何かを考えるきっかけになったことがすごく嬉しくて。思い入れのある役柄になったなと思います」
「深い絆でつながっている」 鷹野と鶸田の唯一無二の関係性
―――少し見方を変えて、菜々緒さんの近くに鷹野のような人がいたらどのように接しますか? 「私は結構、面白がっちゃうと思います。普通の人では考えられないアイディアや行動をする人は自分の人生において良い影響になると思いますし、ルーティンから抜け出して新しい自分に出会える気がします。もちろん、新人教育で大変な思いをされている方もいらっしゃると思うので、難しい部分はありますが、私としては人間の殻を破るうえでは鷹野のような存在は重要かなと思います」 ―――普通に会話していても「あれ、噛み合わないな」となってしまいそうですが、遠ざける感じではないんですね。 「基本的なベースは鳩山さん(井浦新)や、鶸田(塩野瑛久)みたいに『この人大丈夫だろうか』という目線だと思います。やっぱり常軌を逸しているし、いい意味で突き抜けているから。でも、天才と呼ばれる人も普通の人と一緒にいると、『あれ、大丈夫かな』となると思うんです。変わった人は普通とは異なる輝く何かを持っていると思うので、やっぱり魅かれちゃいますね」 ―――そんな鷹野とずっと一緒にいて、ある意味でバディとなっているのが鶸田です。2人は唯一無二の関係性で結びついているように見えますよね。 「最初は『なんだこいつ』と珍獣を見るような感じだったと思うんですけど、彼女の不思議な力や魅力に気付くことによって、鶸田も一緒に営業行こうか、となりましたよね。恋愛とは違った、もっと深い絆でつながっているんじゃないかな。ミラクルもあって契約が取れていくうちに、鶸田くんも信頼を置いている気がしますし、バディ感も回を追うごとに強くなっていると思います」 ―――実際の撮影でも鶸田を演じる塩野瑛久さんと一緒にいる時間が長いかと思います。塩野さんの率直な印象を教えてください。 「塩野さんはすごく真面目だし、穏やかな部分も持ち合わせていますね。雰囲気やテンポ感が互いにハマっていて、共演が初めてだとは思えないぐらい息ぴったりだったと思います。SNSを見ていても『光る君への一条天皇と鶸田っておなじ人なの?』という意見が多くて、本当にカメレオン俳優ですよね。あまりにも役によって印象が違うので顔を覚えてもらえないと彼は悩んでいたんですけど、それって役者冥利に尽きますよね。また、違う役でご一緒できたら面白いなと思います」