「賃金」が上がらないのは「日本に移民が来ないから」ではなかった…!バイデンに揶揄された「外国人嫌い」の日本が忘れていた「最も大切なこと」
日本を名指しした「衝撃発言」
アメリカのバイデン大統領が2024年5月1日、アジア系アメリカ人を対象とした政治資金集め集会でこう発言した。 【写真】大胆な水着姿に全米騒然…トランプ前大統領の「娘の美貌」がヤバすぎる! 「アメリカ経済の成長は移民を歓迎しているからだ。なぜ中国の経済がひどく低迷しているのか。なぜ日本が困難を抱えているのか。なぜロシアやインドもそうなのか。それは外国人嫌いで、移民を望んでいないからだ」 対立が激しい中国への批判ならまだしも、同盟国の日本や地政学的に重要な大国・インドも名指しして批判するこの発言には「失言」ではないかという意見もあり、話題となった。 ただし、移民と経済については、本当に効果があるのか長らく議論が迷走していた。そもそも移民と経済発展にはどのような関係があるのだろうか。
「移民政策」の功罪
まず、前提として移民がくれば、国全体のGDPは増える。 もちろん、人が来ても仕事がないという状況ではGDPは増えないが、仕事があるから移民が来るわけなので、移民が来ることと全体のGDPが増えることはほぼ同等である。 一方で、一人当たりのGDPは、移民が来たからといって必ずしも増えるわけではない。 そもそも日本が直面している問題は、1人当たりGDPが増えないことだ。1人当たりあるいは労働時間当たりの賃金が増えないことであり、つまりは生産性が上昇しないことが問題なのだ。 では、移民と1人当たりGDPとはどのような関係にあるだろうか。 ごく単純に考えて、すべての国内の労働者も移民労働者もまったく同じ能力の労働者であれば、1人当たりのGDPは増えない。増えると考える理由がない。労働者が増加しても資本設備が増えなければ、むしろ1人当たりのGDPは低下するだろう。 ただし、これは極端な場合だから、もうすこし現実に即して考えてみよう。 日本の外国人労働者は、おおむね介護、農業、漁業、建設業、製造業の一部など、人手不足の激しいところで働いている。 もし、外国人労働者が来なければ、これらの分野では、賃金が上がって生産物やサービスの価格が上がるか、人手不足に対応して機械化などによる生産性の上昇があるだろう。 価格が上がるだけで生産性の上昇がまったくないということは考えにくいので、必ず生産性が上がるだろう。すなわち、現状では、移民が来ないほうが、生産性が上がり、一人当たりのGDPは増えるということになる。 つまり、移民が来ることで低賃金の分野では働き方の改革が起こらず、旧態依然とした非効率な働き方が残り生産性は上昇しないのだ。