「東日本大震災の倍の大揺れ」が東京を襲う…じつは他人事ではない「南海トラフ巨大地震」の衝撃的な様相
長周期震動に備える「飛ばされ防止手すり」
過去、長周期地震動により被害を出した主な地震は、私が認識しているだけでも新潟地震、十勝沖地震、新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震、福島県沖地震など枚挙にいとまがない。これからは高層建物であれば、長周期地震動対策は必須事案。それは地震列島日本に住む当然の作法なのかもしれない。 【画像】「南海トラフ巨大地震」で日本が衝撃的な有り様に…そのヤバすぎる被害規模 国土交通省の長周期地震動対策の対象地域内(1-(6)図の緑色で示す範囲)に存在し、00年5月以前に建築された既存の超高層建築物等は、南海トラフ巨大地震による長周期地震動の影響を受けるおそれがあるとされている。この既存の超高層建築物等は、長周期地震動の大きさが、設計時に想定していた地震動の大きさを上回る可能性があるのだ。建築設計時に想定していた長周期地震動の大きさが、南海トラフ巨大地震発生時の想定される地震動の大きさが上回る場合は、詳細診断及び必要に応じた補強等の措置を行うことが望ましいとされている。 人や事業を守るための補強措置例としては、装置の中にある油の流体抵抗を利用し地震エネルギーを吸収する「オイルダンパー」、建築物と逆方向に振れる錘(おもり)により、揺れを抑制する装置「TMD(構造物制振装置)」、柔らかく伸び能力のある鋼材で地震エネルギーを吸収する「鋼材系ダンパー」などがある。設計時に想定していた地震動の大きさが上回るかどうかの確認や、詳細診断などについては、その建築物の図面や構造計算書が必要になるので、まずは建築物の販売者・設計会社・施工会社に相談することをお勧めする。 既存の超高層建築物に対し、補強などの長周期地震動対策の法的義務はないが、00年5月に制定された「超高層建築物の構造耐力上の安全性を確かめるための構造計算を定める件(平成12年建設省告示第1461号)」によらずに設計されている建築物は、南海トラフ巨大地震による長周期地震動の大きさが、設計時に想定していた地震動の大きさを上回る可能性があり、その場合は詳細診断等の対策を行うことが望ましいとされている。というより、南海トラフ巨大地震で人的・物的被害を出す可能性があるとすれば、法的に対策を義務付けるべきである。 国は南海トラフ巨大地震発生時、最悪の場合三大都市(大阪、名古屋、東京)の沿岸部で、揺れ幅2~4mの長周期地震動の揺れが10分以上続く可能性があると推計している。その時、東京は最大震度5強であっても、東日本大震災の倍の揺れ幅の長周期地震動の大揺れが長く続き、対策を行っていない高層マンションや高層オフィスなどの上層階では被害が出る可能性がある。たとえ建物が壊れなくても、大揺れが長く続けば家具類だけでなく、人も揺れに身体がもっていかれ、自分の意志で立っていることができず、長時間揺れに翻弄され、人は飛ばされるか倒されるかもしれない。 高層のオフィスやマンションの上層階は、今のうちに次に掲げる長周期地震動対策が必要。とくに、窓やガラスから離れた安全な場所に、姿勢を低くしてすぐに両手でつかめるよう、安全ゾーンの床や頑丈な壁に、堅固な「飛ばされ防止手すり」を取り付けることをお勧めする。 私が推奨する長周期地震対策は次の通り。