さすがにどうかと…30代女優が「親の14光り」と呼ばれた“最大要因”と明らかな実力
石橋静河と出会ってしまった感覚
10月28日に授賞式が行われた「東京ドラマアウォード 2024」で、石橋が主演女優賞を受賞した『燕は戻ってこない』は、まさにそうした一言ではとても片付けられないほど生々しい存在の質感が感じられた作品である。 主人公・大石理紀(石橋静河)は「変われると思ってた、あの町を出れば」と心の中でつぶやきながら地元・北海道の北見から上京した。でも職を転々とする他なく、手取り14万円でコンビニのおにぎりを買うのも勇気がいる。そんな毎日を変えるため、エッグドナー登録をして代理母になるまでの間、石橋は複雑な感情を(うまく抑制しながら)込めて終始微笑を浮かべて演じている。この微笑がなんとも生々しい。 あるいは『きみの鳥はうたえる』(2018年)。冒頭、閉店後の書店を写すカメラが横移動した次のカットで、石橋が初登場する。照明が暗い室内に、下手の方を向く石橋の横顔のアップが浮かぶ。そのショットの中で上手に顔を動かす。その動きひとつだけで、石橋静河と出会ってしまった、みたいな強烈な感覚になる。石橋静河の存在感はすごい。 <文/加賀谷健> 【加賀谷健】 音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
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