【簿記の基礎知識】どうやって記入すればいい?具体例で簡単に理解できる「仕訳」と「総勘定元帳」【公認会計士が解説】
仕訳と転記
◆仕訳 取引が発生したときには、借方と貸方の要素に分け、どの勘定科目にいくら記録するか決めます。この手続きを仕訳といいます。仕訳は、左側に借方の勘定科目と金額を、右側に貸方の勘定科目と金額を記録します。 例えば、銀行から現金1,000,000円を借り入れた取引があったとしましょう。借方・現金10万円、貸方・借入金10万円という仕訳となります。 現金が1,000,000円増加しました。資産の増加として、借方に記入します。その原因は何かと言えば、銀行からの借入れです。負債の増加として、貸方に記入することになります[図表14]。 また、今月の給料150,000円を現金で支払ったとしましょう。借方・給料15万円、貸方・現金15万円という仕訳になります。 現金が150,000円減少しました。資産の減少として、貸方に記入します。その原因は何かと言えば、給料の支払いです。費用の発生として、借方に記入します。 ◆転記 仕訳を勘定口座へ書き移す手続きを転記といいます。仕訳の借方の金額は、勘定口座の借方に記入します。仕訳の貸方の金額は、勘定口座の貸方に記入します。 勘定口座には日付と仕訳の相手勘定科目も記入します。相手勘定科目が複数あるときは諸口と記入します。 例えば、東北商事株式会社の4月中の仕訳を行ったうえで、T字勘定に転記してみましょう。 4月2日、青森家具店から商品陳列用ケースを250,000円で買い入れ、代金は現金で支払いました。借方・備品25万円、貸方・現金25万円という仕訳になります。 4月4日、岩手商店から商品400,000円を仕入れ、代金は掛けとしました。借方・商品40万円、貸方・買掛金40万円です。 4月6日、秋田商店に原価300,000円の商品を420,000円で販売し、代金は掛けとしました。借方・売掛金42万円、貸方・商品25万円と商品売買益12万円です。 4月10日、りんご銀行から現金300,000円を借り入れ、利息9,000円を差し引かれ、手取りは現金で受け取りました。借方・現金29万1,000円と支払利息9,000円、貸方・現金30万円です。 4月13日、宮城商店から商品550,000円を仕入れ、代金は掛けとしました。借方・商品55万円、貸方・買掛金55万円です。 4月15日、蔵王不動産に、本月分の家賃30,000円を現金で支払いました。借方・支払家賃3万円、貸方・現金3万円です。 4月19日、福島商店に対して商品売買の仲介を行い、手数料60,000円を現金で受け取りました。借方・現金6万円、貸方・受取手数料6万円です。 4月22日、山形商店に原価500,000円の商品を670,000円で販売し、代金のうち70,000円は現金で受け取り、残額は掛けとしました。借方・現金7万円と売掛金60万円、貸方・商品50万円と商品売買益17万円です。 4月25日、本月分の給料80,000円を現金で支払いました。また、岩手商店に買掛金400,000円を現金で支払いました。借方・給料8万円、貸方・現金8万円、借方・買掛金40万円、貸方・現金40万円です。 4月30日、秋田商店から売掛金420,000円を現金で受け取りました。借方・現金42万円、貸方・売掛金42万円です。 ここまでの仕訳を転記しましょう。総勘定元帳はこのようになります[図表16]~[図表28]。