仏プティ・パレ美術館で初のストリートアート展 来場者に視覚的な驚きを
パリ市立プティ・パレ美術館で現在、ストリートアート展「We Are Here」が開催中だ。 ディレクターのアニク・ルモワーヌが同じパリ市内にあるイティネランス・ギャラリー(Itinerrance Gallery)のディレクター、メディ・ベン・ シェイクと共同でキュレーターを務めたこの展覧会では、プティ・パレが所蔵する数多くの作品と、各国の著名なストリートアーティストたちの作品を同時に鑑賞することができる。 新古典主義建築のプティ・パレに活気あるストリート・アートを取り入れるこの展覧会が目指したのは、伝統的な美術と現代的なストリートアートの間の隔たりを埋めること。権威ある公的機関でもある美術館で、ストリートアートの文化的、芸術的価値を示すことだという。 ストリートアートの美的な多様性と創造性を表すと同時に、現代社会と密接に関わる「アイデンティティ、権力、抵抗」などをテーマとする作品が出品されている。 この展覧会について、ルモワーヌに話を聞いた。 ──プティ・パレとしては初、芸術関連の公的な組織が行うストリートアートの展覧会では最大規模の展覧会となりました。開催のきっかけは、どのようなことだったのですか? コレクションと建築の対話、創造的コミュニケーションを促すという精神のもと、プティ・パレはコンテンポラリーアートにも常に門戸を開いてきました……過去と現在の間により強固な架け橋を築くため、ストリートアートとの正式な交流を公表し、対話を開始するため、歴史的なコレクションの中にストリートアート作品を展示する初の展覧会をプティ・パレで行うというのが、メディ・ベン・ シェイクの考えでした。 ──特に来館者の共感を得られるのは、この展覧会のどのような点だと思われますか? 来場された皆さんが、1900年に建てられたこの素晴らしい建物の中に大型のストリートアート作品が展示されていることに驚かれるに違いありません。アーティストたちは、ピクチャーレールや建築のディテール、所蔵作品など、この美術館特有の部分に注意を払ってくれました。そうしたことによる調和が、視覚的な面での驚きをもたらしています。 ──ストリートアートがテーマとして取り上げることが多い社会的、政治的な問題は、この展覧会ではどのように表現されていますか? アーティストたちは常に、政治や社会を作品のテーマにしてきました。ロマン主義の作品を展示している部屋には、ジャン=ヴィクトール・シュネッツが1830年のフランス革命を題材に制作した作品と、ポール・ドラローシュが1789年7月に起きたバスティーユ牢獄襲撃の勝者たちを描いた作品という大型のキャンバスに描かれた油絵の2作品が掲げられています。 そして、この部屋には現在、シェパード・フェアリー(オベイ)が2015年11月に起きたパリ同時多発テロ事件の犠牲者のためにパリ13区にあるビルの壁面に描いた『マリアンヌ』を基にしたポスターが展示されています。