[山口県]猛暑で大量衰弱死「笠戸ひらめ」ピンチ、下松市栽培漁業センター出荷停止へ
人気の名物、観光面に打撃
下松市の笠戸島で養殖される特産「笠戸ひらめ」が、夏場の猛暑などの影響で大量に衰弱死した。本格シーズンを迎える10月から出荷予定だった多くが被害に遭い、養殖を一手に引き受ける市栽培漁業センターは出荷を順次停止する。地元を代表する名物が需要期に出荷できなくなり、観光面の影響も懸念される。 同センターは16基の水槽(直径約6メートル、深さ約1メートル)で陸上養殖し、周辺から引いた海水を使う。9月10日ごろに衰弱死が目立ち始め、その後も中旬に水温が30度近い日が1週間ほど続くなど養殖環境が悪化。海水の入れ替えや換気の徹底など対策を講じたが対応できなかったという。 例年はこの時期は約8千匹を飼育するが、現在は約2700匹に。被害額は約720万円という。 出荷は、現在の確保分を宿泊・飲食関係の予約分を優先して卸した後に停止する。施設では1983年からヒラメ養殖に取り組み、通年出荷して地元消費を支えてきたが、これほどの大量死は初めて。出荷再開は来年夏ごろの見込みという。センターは「今後同様の事態が発生しないよう養殖環境の改善などに取り組み、信頼回復に努める」とする。 観光面で影響も出始めた。笠戸島内にある国民宿舎大城は2日からレストラン営業の新規の笠戸ひらめ料理の受注を中止。年末にかけて笠戸ひらめをうたったツアーなども予定するが、関係先と調整に入っている。 また、市観光協会には飲食関係者からのショックの声が寄せられているという。原田裕章事務局長は「年末にかけては飲食・宴会や贈答需要などが盛り上がる時期で、観光面で打撃だ。今の私たちにできることは笠戸ひらめブランドを絶やさないための努力。笠戸ひらめには加工品などもあり、笠戸島のイベントなども含め明るい話題を提供し、ブランドを守りたい」と話した。