国内投資家の外国債券売越額が2015年以来の大きさに
(ブルームバーグ): 金融政策が世界的に変化する中、日本の投資家による外国債券の売越額が先週、過去9年間で最大になった。
財務省が13日に公表した対外及び対内証券売買契約等の状況(週次・指定報告機関ベース)によると、国内投資家は先週(2-8日)、2兆6476億円の海外中長期債を売り越した。5月全体の買越額である2兆2981億円を上回った。この週はカナダ銀行(中央銀行)と欧州中央銀行(ECB)が利下げに踏み切り、米国では市場予想を上回る雇用統計が発表された。
みずほ証券金融市場部の大森翔央輝チーフデスクストラテジストは「銀行が米国債を大量に売ったのではないか」とみる。銀行は短い年限の米国債を積み上げていたため、米供給管理協会(ISM)製造業景況指数や求人件数のような弱い統計を受けて「売る好機と判断したのではないか」と語った。
財務省の週次統計には、投資家がどのような種類の債券を売買したかは示されていない。
スタンダードチャータード銀行の江沢福紘フィナンシャルマーケッツ本部長は、ヘッジコストの高い外債から円債に回帰する投資家の動きが続いている可能性を指摘する。「先月末にかけて円金利が上昇し、国債入札に不安があったが結果は好調だった」と述べた。4日に実施された10年国債入札と6日に実施された30年国債入札は、いずれも最低落札価格が市場予想を上回った。
--取材協力:山中英典.
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Masaki Kondo, Daisuke Sakai