【u named (radica) インタビュー】どこから聴いても興味を持って楽しんでもらえる作品になった
忘れかけてたさまざまな情景を想起させる、繊細かつ感情的な歌とサウンド――。u named (radica)が初の全国流通盤となるミニアルバム『Distance to you』を完成させた。改名も経て、覚悟を決めて大きく踏み出そうとする彼らを直撃した。 u named (radica) インタビューその他の写真
新しいバンド名で1枚目を出したいというのがバンド名を変えた経緯
──ミニアルバム『Distance to you』を完成させたu named (radica)ですが、10月末にバンド名を改名して、これが初の音源になりますね。 令：2011年に僕が高校生の時に前身バンドのRadicalismを結成して、ずっとそのバンド名で活動を続けてきたんですけど、そこから一歩大きく踏み出すっていう理由があったり、コロナ禍に入ってうまく音楽活動が進められないもどかしさもあって、全国リリースができるタイミングで改名しました。僕らなりの覚悟を持って。新しいバンド名で1枚目を出したいというのが経緯でした。 ヨシダ：前の“Radicalism”というバンド名がエゴサーチしづらかったっていう理由もあるんですが（笑）。何かの節目でバンド名を変えて、気持ちも一新してやりたいという話があったので、このタイミングだったのかなと思うし、身が引き締まる気持ちもありますね。 ──宮城県石巻市がバンド活動の拠点ということですが、上京というのはあまり考えていないのですか？ 令：売れるために上京するというスタンダードなパターンもあると思いますが、地方の音楽シーンでライヴを重ねてから全国に出たいという想いがあって。石巻をホームにして、全国区で売れたほうがカッコ良いという気持ちはありますね。 ──僕が『Distance to you』を聴いて思ったのは、歌詞やサウンドからすごく情景が見えて、東京の雑踏の中で忘れかけてる感覚を思い出させてくる感じがあったのですが、いかがでしょうか？ 令：特にヨシダの作る曲は特にそういう特色が強いと思います。バンドのスタンス的にもみんなが失くしたものではなく、忘れているだけの気持ちを思い出させる歌詞とか、そういうのはあるかと思います。 ヨシダ：そもそも自分の曲の作り方っていうのが、色褪せているような風景とか、思い出とか、いなたさってところからインスピレーションを受けて作ることが多いので、自分が見てる景色や記憶にあるものは色濃く反映されていると思います。サウンドも意味のないものを作りたくないので、楽曲の世界観に対してどうアプローチしていくかっていう音作りだったりをかなり意識しているし。なので、そこを感じていただけたのは嬉しいですね。 ──令さんの曲もヨシダさんの曲もメンバーがしっかり理解して消化した上で音作り、アレンジができているとも思ったのですが、そこは長く一緒にいるからこそってところもありますよね？ 令：もはや当たり前というか、慣れちゃっているところもある（笑）。 ヨシダ：僕は宅録でレコーディングしているので、令とふたりで編曲を詰めていくことが多いんですけど、お互いに言いたいことややりたいことをなんとなく理解しながら言葉にしなくても進めていけるのは、やっぱり長くやってきたからこそなのかなと思いますね。 令：“もうちょっと淡く”とか他の人だったら通じない注文も、ちゃんと音として返ってくるんで、そこはこれまでの関係性があってこそだと思います。 ──ふたりは音楽的なルーツも近かったりするんですか？ 令：僕はMONGOL800がすごく好きで、そこからラウド系とか聴いていたり、ギターはハードロックとかメタルが好きで、一方のヨシダはアニソンが好きだったりとルーツはバラバラですね。それがクロスオーバーしてというか、ひとつのスタイルにまとまっている感じです。そこがこのバンドの面白さだし、ジャンルによって好きなフレーズとかもあると思うんで、衝突しないのが奇跡だと思っています（笑）。 ヨシダ：僕はバンドサウンドはあまり聴いてこなかったし（笑）。 ──これまでRadicalismでやってきた音楽も、もはや自分たちのルーツになっているでしょうしね。今作に関しては気持ちを一新して、新しいバンドくらいの気持ちで作れたところもあったのでは？ ヨシダ：僕に関して言うと、早い段階から原型はできていて、“アルバムにして出そう”となった時に改めて編曲した感じです。 ──「アンファ」はすでにライヴでも定番になってるんですよね？ 令：はい。「アンファ」と「サイ」はすでにライヴでやっているし、その2曲は音源に収録したいと思っていたので、その他の4曲は“どう出そうか？”って考えながら作り進めて、ミニアルバムを作るというタイミングで完成させた感じでした。
