京都の漁師が「防災カフェ」を毎週開く理由 災害時「まず問題に」トイレ対策こだわり
ポリ袋でご飯を炊いてみたり、簡易トイレの使い方を試してみたり。京都府舞鶴市の防災士、田上雅一さん(61)が10月から毎週金曜日に開く「防災カフェ」では、実際に手を動かして体験することを大切にしている。「楽しみながら参加して、防災について考える入り口にしてもらいたい」との思いからだ。 大学卒業後40年近く福祉の現場で働いてきたが、4月に父親から家業のマガキ養殖や渡船業を受け継いだ。舞鶴湾を臨む好立地を活用しようと、敷地内にレンタルスペース「白杉漁師の小屋」を新築。釣り客の休憩場所としての利用のほか、家族や友人の集まりでの利用を想定し、キッチンや調理器具も備えている。 防災士だけでなく防災トイレアドバイザー(NPO法人日本トイレ研究所)の資格も持ち、漁師の小屋でも防災や福祉の視点からトイレにこだわった。多目的トイレにはベビーベッドではなく、おむつ替えや着替えが必要な大人も使える大型の介助用ベッドを導入した。女性専用トイレも設けた。 漁師の小屋で開く防災カフェでも、トイレ対策に重点を置く。「排せつは我慢することが難しく、災害時にまず問題となる」と話し、災害用トイレを備蓄し、使い方を学んでおく必要性を強調する。その際も、クイズ形式にしたり実際に使ってみたりと、堅苦しくならないよう心がけている。 防災士は2017年に取得した。当時は舞鶴市では珍しかったというが、近年は行政の支援もあり防災士は増えている。ただ、地域で防災士が活躍するには取得後のフォローが大切だと感じていて、防災カフェを「防災士同士が知識やスキルを共有し合って、高め合う場所にもしていけたら」と展望する。