まさか“税務調査のお知らせ?”税務署から突然届く「時期外れの封筒」の正体【税理士が解説】
「税務調査」と、封筒による「お尋ね」の違い
お尋ねも税務調査も、確定申告の内容など、納税に関して行われる問い合わせや調査です。そのため、両者を混同してしまうケースもあります。しかし、お尋ねと税務調査には次のような違いがあります。 ■税務調査とは… 税務調査とは、個人や法人を問わず、納税の義務がある者に対して、正しく申告を行い、正しく納税をしているかを確認する調査です。 税務調査には、いわゆる「マルサ」と呼ばれる国税局査察部が行う強制調査と管轄税務署の調査官などによって実施される任意調査の2つがあります。 強制調査は、裁判所の令状を得て強制的に行われる調査であり、悪質な脱税が疑われる場合に行われるものです。一般的な税務調査のほとんどは、任意調査となりますが、任意と名がつくものの、任意調査も調査を拒否することはできません。日程の都合が合わない場合などには日時の調整をすることができますが、税務調査自体を断ることはできないため、税務調査の事前通知を受けたら必ず税務調査を受ける必要があります。 税務調査では、調査当日に調査官がオフィスや店舗などを訪れ、帳簿などの資料を確認し、質問や指摘を行いながら調査をし、後日、調査結果が報告されることになります。 ■お尋ねとは… お尋ねは、申告内容や税金などについて確認をしたい点があり、それに対する質問が記載された文書が封筒で届くというものです。したがって、税務調査のように税務署の調査官が事務所や自宅などに訪問することもなければ、帳簿等の関連書類をチェックされることもありません。 後述しますが、税務署からのお尋ねを受け取ってもお尋ねに対して回答をしない場合などは、税務調査に発展する恐れがあります。そのため、お尋ねが入った封筒が届いたときには、適切な対応を取るようにしましょう。
税務署からのお尋ねが届いたときに取るべき対応
税務署から封筒でお尋ねが届いたときには、内容を確認したうえで、問われる内容に回答することをおすすめします。 ●お尋ねが届いたら、期限までに回答する ⇒税務署からお尋ねが届いた場合でも、回答の提出義務があるわけではありません。しかし、お尋ねが届くということは何らかの点において税務署側が疑いを持った状態です。そのため、回答しなければ不審な点があるのではと、ますます税務署の疑いを強めてしまうことになります。文書内に記載されている回答期限までには、必ず回答をするようにしましょう。 たとえば税務署が相続についての情報を把握しており、相続税の申告が必要ではないかと考えている場合、相続税についてのお尋ねが送付されるケースがあります。相続発生から数か月が経過しているタイミングでお尋ねが届いたときには、税務署でも確実に相続税が発生すると把握しているわけではありません。相続税の計算をし、相続税が発生しない場合には、お尋ねに対し、相続税がかからない旨の回答をすれば問題ありません。しかし、相続税の計算後、相続税の申告が必要になる場合は申告書を作成して提出する必要があります。 また、相続発生から数年後にお尋ねが届いた場合には、相続税の納税が必要なのではと疑われている可能性が高くなります。その際には、相続内容を確認したうえで、適切な対応をしましょう。 ●税理士に相談し、サポートを依頼する ⇒不動産投資などで不動産所得があったにもかかわらず確定申告を行ってこなかった場合や贈与を受けて不動産を購入したにもかかわらず、贈与税の申告をしていなかった場合などもお尋ねの対象となります。 確定申告を忘れていた場合や確定申告の必要性について知らなかった場合などは、税務署からの問いにその旨を正直に回答し、速やかに確定申告を行いましょう。ただし、税務署から送られてくるお尋ねには回答期限が記載されています。そのため、これまでに確定申告の経験がないような方は、期限までに確定申告書を作成し、提出することが難しい可能性もあるでしょう。 その場合は税理士に相談し、サポートを依頼することをおすすめします。税理士であれば、正しい申告書の作成方法を熟知しているため、申告内容にミスが生じ、再び税務署から指摘を受ける心配もありません。
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