米大統領選 有権者最大の関心は「民主主義」 出口調査 トランプ氏不正主張など影響か
【ワシントン=大内清】5日投開票の米大統領選で米メディア各社が実施した出口調査では、最も関心のある争点として「民主主義のあり方」を挙げた人が「経済」を上回った。有権者層の分析では、共和党のトランプ前大統領(78)が過去の選挙戦より黒人やヒスパニック(中南米系)からの支持を増やした半面、民主党のハリス副大統領(60)はトランプ氏から白人の支持を奪っているもようだ。 【表でみる】米大統領選、正式選出までのシナリオ…敗北後は NBCテレビの出口調査によると、最も重視する争点は「民主主義」だと答えた人は34%で、「経済」の31%を上回ってトップとなった。続いて「人工妊娠中絶の是非」が14%、「移民問題」が11%、「外交問題」が4%だった。CNNテレビの調査でも近似した結果となった。 選挙戦での世論調査では、ほぼ一貫して経済が最重要争点とみなされてきたが、ここにきて民主的制度が脅かされているとの懸念が有権者に広がっていることが示された格好だ。米紙ワシントン・ポストによると、有権者の約7割が、米国の民主主義への脅威が「とてもある」あるいは「ある程度ある」と回答した。 背景には、トランプ氏が2020年の前回大統領選で十分な根拠を示さず主張したのと同様に、今回も投票日前から「不正が行われている」と繰り返していることなどが影響したとみられる。前回選では、トランプ氏が敗北を認めずに不正主張を拡散させたことが、21年1月のトランプ支持者による連邦議会襲撃事件につながったとされる。 一方、NBCによれば、有権者の45%がトランプ政権時の4年前より「生活が苦しくなった」と回答。経済運営ではハリス氏よりもトランプ氏に期待する傾向があらわれている。 人種による支持傾向にも変化があった。トランプ氏を「好ましい」と考える人の割合は白人で49%で、前回選の57%から8ポイント減少。ヒスパニックは42%、黒人は14%で、前回選よりそれぞれ4ポイント増加した。「男らしさ」といった価値観を重視する黒人やヒスパニックの男性有権者には、女性初の大統領を目指すハリス氏への反感がある一方、白人女性の間では「トランプ離れ」が進んでいると指摘される。