田原総一朗さん「中露はもう伸びない…これから衰退していくと思う」 90歳の著者が〝遺言代わり〟畢生の書『全身ジャーナリスト』
【BOOK】 驚きの「秘話」がテンコ盛りだ。政権をぶっ潰したかと思えば〝キングメーカー〟だったりもする90歳の男。とはいってもフィクサーや黒幕などではない。「一ジャーナリスト」なのだ。反骨の信念を貫く田原総一朗さん畢生(ひっせい)の書! ◇ ――90歳になった 「周りを見ても、(今も現役で活躍中の知人で)年上は、黒柳徹子さんや五木寛之さんくらいになりましたねぇ。石原慎太郎さんは僕よりも2つ上だったけど、亡くなってしまいました。石原さんとは、彼が国会議員のときに、月刊誌で対談して本気で大ゲンカをした。ところが1週間もすると、向こうから『会いたい』と連絡があって、すっかり仲良くなったんです。石原さんの面白いところは、ハッキリとモノを言うこと。あんな政治家も少なくなりました」 ――『塀の上を走れ』(2012年)以来ほぼ10年ぶりの自伝 「この10年間で、日本の社会や、日本を取り巻く状況は、かなり変わったと思います。『どんどん生きにくく』なっていますねぇ。各マスコミも批判が怖いから、言いたいこと言えない。それが問題ですよ」 紙の文化や情報を活字メディアは若い世代に教えないと ――ジャーナリズムの中でも、とりわけ活字メディアが厳しい 「新聞がなぜ売れなくなったのか? それは面白くないから…。今や若い人たちはネットで『自分が面白い』と思う情報だけを見るでしょ。だけど、僕はそれが危険だと思う。新聞やテレビは(関心のないものを含めて)いや応なく幅広い情報を伝える。ネットで『見たい情報だけ』を見ていると、どんどん視野が狭くなってしまうんです。紙の文化や情報は大事だし、これからも期待できると僕は思う。(新聞社や出版社は)そのことをもっと若い世代に教えないといけませんよ」 ――日本を取り巻く状況も厳しくなるばかり。ライフワークとして掲げる「日米安保における日本の主体性」とは 「戦後の世界で、アメリカは世界一豊かで、強い国でした。ところが、アメリカの力が相対的に弱くなり、『パクス・アメリカーナ』(アメリカによる平和)の時代が終焉を迎えると、日米安保も、それまでの(安全保障を一方的にアメリカに依存する)『片務』→『双務』に変わることが必要になった。つまり、日米安保を維持してゆくには、日本が、主体性を発揮する新たな形を構築しなくてはならなくなったわけです」