メッシのインテル・マイアミは面白いのか オーナーのベッカムがバルセロナOBメンバーで固めたチームの横顔
リオネル・メッシが所属するインテル・マイアミが来日。2月7日に国立競技場でヴィッセル神戸と試合を行なう。デヴィッド・ベッカムが共同オーナーを務め、ルイス・スアレス、セルヒオ・ブスケツらバルセロナOBも集まったネームバリュー抜群のこのチームの正体は? クラブの歴史と近況を追った。 【写真】メッシ、ロナウド、ハーランドほか サッカートップスターの美しきパートナーたち 【アメリカの新興クラブ】 サッカー界屈指のレジェンド、リオネル・メッシが再び日本にやってくる。 前回メッシが日本でプレーしたのは、パリ・サンジェルマンの一員としてジャパンツアーに参加した2022年7月のこと。あれから約1年半、今度はアメリカのプロリーグMLS(メジャーリーグサッカー)に所属するインテル・マイアミの一員として、2月7日に国立競技場でヴィッセル神戸と対戦する。 よほどのサッカー通でない限り、インテル・マイアミは多くの日本人にとって馴染みの薄いクラブだろう。そこで、あらためて現在メッシが所属するインテル・マイアミとはどんなクラブなのかを紹介しよう。 まず、インテル・マイアミはその名のとおり、アメリカのフロリダ州マイアミをホームタウンとするプロサッカークラブだ。創立は2018年で、アメリカのトップリーグにあたるMLSイースタン・カンファレンス(東地区)に参戦するようになったのは2020年から。1996年に産声を上げたMLSのなかでも、かなり新しいクラブのひとつだ。 これまで4シーズンのリーグ成績は、2020年のレギュラーシーズン総合19位(東地区10位)を皮切りに、2021年20位(同11位)、2022年12位(同6位)、2023年27位(同14位)と、なかなか思うような成績を残せていない。MLSカップ本戦(年間王者を決めるプレーオフ)の出場権を獲得したのも1度しかないというのが実情だ(2022年)。
【メッシの加入で"フィーバー"が起こる】 ただし、その成績とは裏腹に、クラブ創立以前からインテル・マイアミはサッカー界ではよく知られていた。なぜならクラブの共同オーナーを務めているのが、元イングランド代表のスーパースター、あのデヴィッド・ベッカムだからだ。 ベッカムがMLSのクラブを立ち上げようとしたのは2014年のことだった。2013年にパリ・サンジェルマンで現役を引退したベッカムは、それ以前の2007年から2012年にかけて、現在吉田麻也と山根視来も所属するロサンゼルス・ギャラクシーでプレーした過去があり、その時代にマイアミに超高級別荘を購入。そんな縁もあって、引退後にマイアミに新しいクラブを立ち上げることを決意したのだった。 ただ、ベッカムが新クラブの本拠地マイアミに2万5000人収容の新スタジアムを整備すると華々しく表明したものの、その後は地元との交渉が難航。クラブ設立までにはそれなりの時間を擁した。 また、現在のホームスタジアム「DRV PNKスタジアム」はマイアミから北に約40㎞離れたフォートローダーデールにあり、悲願だったマイアミの新スタジアム「マイアミ・フリーダム・パーク」はようやく昨夏に着工し、2025年のオープンを目指している。メッシとインテル・マイアミとの契約が満了するは2025年12月。ベッカムとしては、新スタジアムが本格稼働するタイミングで、メッシという目玉選手がどうしても欲しかった。 パリ・サンジェルマンを契約満了で退団したメッシにとっても、ベッカムからのオファーは渡りに船だった。当時メッシには古巣バルセロナをはじめ、サウジアラビアからも高額年俸のオファーはあったが、本人曰く「家族のことも考えて決断した。現在とは異なるサッカーを楽しむ時が来た。ベストを尽くしたい気持ちは変わらないが、少し落ち着いた環境でプレーしたい」というのが、インテル・マイアミ移籍の主な理由だった。 オーナーはサッカー界の誰もがよく知るベッカムで、マイアミではメッシの母国語でもあるスペイン語が通じる。しかも世界中のセレブが別荘を所有するその土地柄から、有名人が日常生活を送るには最適な街とされるため、静かに暮らすことを望むメッシの家族にとっても申し分のないオファーだった。 まさに相思相愛の移籍だったというわけだが、実際、昨夏にメッシがインテル・マイアミに加入すると、さっそくチケットはほとんどの試合でソールドアウト。想像以上の"メッシ・フィーバー"により、俄然クラブは活気づいた。