井上真央、大河以来のドラマ出演 今秋最も重厚なミステリー『明日の約束』
井上真央がスクールカウンセラー役で主演する『明日の約束』(フジテレビ系)が17日スタート。過干渉な毒親ぶりを鬼気迫る演技で見せる仲間由紀恵との対決が、初回から大きな焦点となっている。『過保護のカホコ』が明るい毒親ドラマなら、『明日の約束』は重苦しいトーンと迫力で正調・毒親ドラマといえそうだ。
まずはカウンセラー役・井上と毒親役・仲間の対決 その先にある謎解きが気になる
NHK大河『花燃ゆ』以来のドラマ出演となる井上。カウンセラーというほかの教師とは異なる立ち位置から、職員室でもどこか浮いてしまっている感がある藍沢日向役を好演している。『花燃ゆ』当時にインタビューしたときは自身の性格について「すごく優柔不断で決断するまでには悩みに悩んで時間がかかるけれど、いったん考えが決まったら腹をくくれる。割とそこは、頑固です」と話していたが、生徒の悩みに寄り添いながらも明確な道すじを指し示していく日向役は適役なのでは。 その過程で衝突を避けられないのが、生徒の親。第1話で不可解な死を遂げる吉岡圭吾(遠藤健慎)という生徒の母親、真紀子(仲間)との対決や謎解きが2話以降、とりあえずの注目ポイントになりそうだ。ピュアでかわいい系ルックスの井上と対照的な、クールビューティー仲間の美貌がこういう役には実に効いている。美人の宿命かもしれないが、「美人だけど、何考えてるかわからないとこあるよね」的なミステリアスさが醸し出されている。 そして日向自身の母親(手塚理美)も過干渉な毒親。日向は話を聞いてもくれず気持ちを汲んでくれたこともない、中学生のときブラジャーを買ってくれなかった、小学生のときは無理やり交換日記をつけさせれた、そんな母親を好きになれない。好きになれないが、捨てることもできない。 ところで本作は、ドラマ本編につながる重要な物語を描く“チェインストーリー”の共同製作・「GYAO!」独占無料配信が展開されている。各話テレビ放送終了後より配信されるチェインストーリーは本編と合わせて視聴することで、ドラマをより深く楽しむことができるという。ネット配信時代の新たな試みだ。現在配信されている1.5話を観てみた。10分もない短いものなのだが、吉岡圭吾最後の1日として、本編では謎だった圭吾の行動が描かれている。 シリアスなテーマを扱ったドラマだが、時折インサートされる湘南の景色がいい。七里ヶ浜側から見た江の島、江ノ電、ほんのひとときの潮騒。息のつまりそうな展開のなか、映像作品ならでは、一刻の休息が心地いい。 次も観たい度 ★★★☆☆ (文・写真:志和浩司)