「ヨンクの三菱」から「オーディオの三菱」へ!? ヤマハとコラボした「アウトランダーPHEV」の本気のオーディオシステムとは【Key's note】
上質サウンドのために徹底した改良を施す
「アルティメイト」仕様では、厚みが1.5倍のパネルを使用しているばかりか、補強パーツを大型化し、さらにはスポット溶接増しをしていのです。これまでもパネルの大型化やスポット増しは珍しくはありませんでしたが、それはサスペンション取り付け部であったり、ピラー部であったりと、操縦安定性を高める部位に限られてきました。自動車ですから、走りが最優先されるためです。ですが、アウトランダーの「アルティメイト」は、クルマをオーディオルームとして考えて、理想の空間を得ようとしているのです。そのためのスポット溶接であり、パネルの肉厚化なんです。 ドアの内張りを剥がすと、剥き出しの鉄板にはたくさんの穴が空いています。クルマの軽量化のためでもありますし、修理や組み立てる際の整備性を高めるためのサービスホールでもあります。スパナやハンマーを使いやすくするためですね。 ですが、こと音響空間と考えた場合、スピーカーの裏から不要な音漏れを招くため不必要なのです。それを防ぐためにサービスホールをカバーし、ドアそのものの振動を防ぐ制振材や補強材を組み込んでいるのです。 いやはや、そこまでやるかという意気込みですね。しかも、です。アウトランダーはクルマですから、走行中に音楽を聴くことも少なくありません。それへの備えも万全です。 走行中のロードノイズに対しては、その質に合わせて5段階の周波数に対して雑音を補正するのです。エアコンの送風音など、空調関係の雑音にも対応します。さらにはワイパーの作動音、あるいは雨粒がボディやガラスに当たる際の騒音に対しても補正するというのですから腰を抜かしかけます。 そもそもアウトランダーはPHEVですし、新型はEV時間を長くするための細工がされています。バッテリー容量も増強していますし、冷却性を高めてもいます。それによってエンジンが発電するシーンが少なくなったことで、車内が静かになったのです。オーディオルームとしては理想的ですね。 三菱がそこまでオーディオに力を入れたのは、「四輪駆動力制御の三菱」や「EVの三菱」だけではなく「オーディオの三菱」に昇華するための想いが込められているそうなのです。 「一番音がいいのは三菱だ」 そう評価されることを目指して開発されたのです。クルマにとってオーディオは、あくまで脇役であり主役にはなれない存在でした。ですがこれからは、クルマにとって欠かせない存在になるかもしれません。その頃には「オーディオの三菱」の名が世界に浸透していることでしょう。
木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
【関連記事】
- 【画像】上質な室内空間など進化した三菱「アウトランダーPHEV」を見る(11枚)
- ◎ファルケンが世界一過酷な「ニュル24時間レース」に参戦して25年! 歴史を振り返る貴重映像が公開中です【Key’s note】
- ◎三菱「ランサーエボリューション」がベースの「サイバーエボ」を手掛けた名チューナー「GarageHRS」の本格再始動に期待大です!【Key’s note】
- ◎クルマがすべてEVになる未来はない!? ボルボが完全EV化宣言を撤回…同じく2040年までに完全EV化を公言したホンダの動向が気になります【Key’s note】
- ◎熱々のボンネットで目玉焼き…なんて発想はできなくなる!? 日産自動車が開発中の次世代塗装に注目です【Key’s note】