歯学博士照山裕子の100歳まで食べられる歯と口の話

「100歳まで食べられる歯と口の話」＜16＞ 　歯や顎の大きさは千差万別、歯並びや、かみ合わせが教科書通りに完璧という方はそうそう多くないのが現状です。厚生労働省が実施している「歯科疾患実態調査」によると、平成23年時の12～20歳の男女のかみ合わせを調べた結果は、叢生（そうせい＝歯が顎に入りきらずにガチャガチャに生えている）が44・3％に見られ、上顎前突（出っ歯）が12・9％、空隙（すきっ歯）が12・4％、開咬（奥歯だけがかみ合い前歯がかまない）が5・7％、過蓋咬合（前歯のかみ合わせが深く、下の前歯が上の前歯の歯肉をかんでいる）が4・8％、反対咬合（前歯が反対にかんでいる）が2・4％となっています。 　これらはすべて「不正咬合」とくくられ、見た目に影響するだけでなく、時間軸でみると、咀嚼（そしゃく）機能の低下や歯自体の寿命短縮を招くことが懸念事項です。このため、かみ合わせに自信がない人ほど、オーラルケアに力を入れて歯を長持ちさせる意識を持ってもらいたいと思っています。 　比率が最も多い「叢生」は、歯が重なっている部分に汚れが付きやすく落としづらいのが難点です。歯間ケアの徹底は言うまでもありませんが、バイオフィルム（歯垢＝しこう）が大きな面で形成されやすいので、＜4＞タフトブラシを使うと便利です。通常の歯ブラシと比べて小さく、毛束もひとつなのが特徴ですが。さまざまな毛の種類や大きさがありますので、自分の口に合うものを歯科医院で教えてもらってください。親知らずが斜めに生えている方などにも適しています。 　テクノロジーが進化した現代では、＜5＞電動歯ブラシが強い味方です。自分の手みがきの力加減が不安という方は、特に取り入れるべきアイテムになります。どの程度の圧で当てればよいかという目安もわかりますし、磨き残しを知らせてくれるアラート機能がついている機種もあります。ある程度スペックが高い製品を選ぶのがポイントです。