デビューの時が迫るホンダ シビック・タイプR-GT。鍵は“スイートスポット探し”? 山本尚貴「まだ良いところが見つかりそうなので、煮詰めていきたい」
スーパーGTは、4月の2024年シーズン開幕に向け、開幕戦の開催地である岡山国際サーキットで公式テストを実施している。ホンダ陣営は今季NSX-GTからシビック・タイプR-GTに車両を変更することで注目を集めているが、テスト初日の“模擬予選”では100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTが4番手で陣営最上位となった。 【リザルト】スーパーGTは新予選方式に! “模擬予選”のタイム結果 100号車に乗る山本尚貴は、今回相方の牧野任祐の体調不良により、初日のテストをひとりでこなした。ホンダドライバーのエース格である山本は昨年からシビックの車両開発に携わっているが、ベース車両がNSXからシビックに変わったことによるキャラクターの変化を次のように語る。 「一緒ではないですが、言うほどガラリとは変わっていない印象です」 「今までのNSXより直線は少し速くなったと思いますが、ドラッグ(空気抵抗)だけが落ちることは力学上考えづらく、今まで出ていたダウンフォースが削られドラッグ低減になります。それも決して1:1の関係ではありませんが、ダウンフォースが落ちてしまってはいます」 もちろん、昨年とは最低地上高の規則も異なるため、NSXとの直接的な比較は難しいと語る山本だが、やはりダウンフォースは少なくなっているという。その分のドラッグ低減もあるため一概にマイナスとは言えないが、少なくともNSXとは違ったキャラクターのシビックに合ったセッティングやタイヤを模索していく必要がある。オフのメーカー主催テストで取り組んできたことも、セッティング面でシビックの“スイートスポット”を探すところと、シビックに合わせたタイヤの開発だったという。 快晴となったテスト初日では、2日目に曇りになることも見越して、より温かいコンディションに合わせたタイヤコンパウンドのパフォーマンスをしっかり確認すべく、ショートランだけでなくロングランも行なった100号車。しかしラップタイムを見ると、ロングラン終盤はややペースが落ち気味になっている傾向があった。 これについて山本は「あまり良くはなかったですね。車両のバランスもあまり良くなかったのですが、それにしてもうまくタイヤを保たせられず、ラップタイプを落としてしまったので、明日使うタイヤコンパウンドでそれが改善されるのか、車両側を見直すべきなのかは課題になりますね」と振り返った。 兎にも角にも、今はシビックのポテンシャルを引き出し切ることが重要。「スイートスポットを見つけ切れていない……と言うと語弊がありますが、まだまだセッティングを色んなところに振ることで、良いところが見つかりそうだと思っています。もうちょっと時間をかけて煮詰めたいです。ライバルは同じ車両で継続してやっているので、彼らに追い付き追い越せるように、開発陣と一緒にレベルアップしていきたいです」と山本は語った。
戎井健一郎