「石破さん、納得しないのはあなただけでしょう」 SBI北尾氏が暗号資産の税率の高さに苦言
物価高や円安が続く状況、石破茂政権の政策、そして新NISAの開始……。こうした日本の政治経済について、金融業界の重鎮はどう見ているのか。SBIホールディングスの北尾吉孝代表取締役会長兼社長に語ってもらった。AERA 2025年1月13日号より。 【写真】SBI証券の社長はこちら * * * ──日本の金融政策についてどう分析しますか 「米国でも日本でも金利は大問題になっていて、米国は予定通り利下げを行っている。一方、日本は利上げを躊躇している。日本の場合は、(金利がない)異常な状況からきちっとノーマルの方向に持っていきましょうという大義があるにもかかわらず動きが遅い。タイミングを逸し、金利を上げるのが遅れ、そのため円が安くなっている」 「円安という現象は為替だけで起こるわけではないんです。円安の根本的な理由は、国力の衰退。だから日本の国力が、こういう状況の中でどんどん落ちていっているということなのだろうと」 「日銀と政府は、大義に基づいて、勇気を持って行動しないといけない。少なくとも、日銀は政府とは分離されてしかるべき。金融政策の主体ですから。それが政府に忖度ばっかりしていたのでは、しょうがない。はっきり言ってそういうことだと思います」 ──忖度しているように見えますか 「誰が見ても明らかです。グズグズしていると、為替がまた1ドル=160円というのが見えてくる。物価はまた上がりますよ。日本はエネルギー源のほとんどを輸入しているわけですから。よっぽど原発を推進していかないとエネルギーコストはどんどん上がる。食料についてもそう。小麦だって、お米だって、どれだけ上がっているんですか。しかし実質賃金は上がらない。あれほど、賃上げ賃上げといっても上がっていない。そう考えると、日本の政治は本当に心配です」 ──いまの政治状況、石破茂政権についてどう見ていますか 「今は最悪の状況かなと。つまり、自民党がマジョリティー(多数)を失い、(国民民主党の)玉木(雄一郎)さんらに振り回されちゃっている。与党が与党という感じでは必ずしもない」 「(首相の)石破さんは、例えば暗号資産の税率を株と同じように20%にまで引き下げることに対する見解を問われれば、『国民がそれを納得するかどうか』と言う。僕から言えば納得しないのはあなただけでしょうと。これは世界の趨勢なんです。暗号資産取引の利益に(雑所得として最高)55%もの税金を取るような国は他にない。日本の税率は他国よりも突出して高い」