聖地で見せる粘り強さ 春夏通じて初出場の彦根総合 センバツ出場校紹介
彦根総合(滋賀)は春夏通じて初の甲子園に挑む。就任3年目を迎える宮崎裕也監督は滋賀県立の北大津を春夏計6回の甲子園に導いた実績を持つ。「一からのつもりで無我夢中でやってきた。粘り強く、『もう一度、このチームの試合が見たい』と思われるような戦いを見せたい」と再びの大舞台を見据える。
投手陣層厚く、守りから攻撃のリズムを
昨秋の滋賀県大会は初戦から3試合続けてコールド勝ち。準々決勝で延長十五回の末に彦根東に競り勝つと、準決勝と決勝は持ち前の堅守で快勝、初優勝を果たした。近畿大会では準々決勝で優勝した大阪桐蔭に敗れたものの、初回に3点を奪う力を見せた。
投手陣では左腕、野下陽祐(2年)がエース。ボールにキレがあり、縦横のスライダーで三振を取れる。最速140キロ台前半の直球を持つ勝田新一朗(2年)や武元駿希(2年)の両右腕も控えており、層が厚い。センターラインを中心に守備は安定感が光る。 1年時から登板してきた経験豊富な3投手を捕手の森田櫂(2年)がリードし、守りから攻撃のリズムを作っていく。先制点を挙げて、投手を中心とした守り勝つ野球を目指す。
打線の中心は、昨秋の県大会で打率5割の主将・上田大地(2年)、長打が魅力の森田、出塁率が高い秋山昌広(1年)。下位打線も積極的に盗塁を狙い、小技も絡めることができる。チームトップの10打点を挙げた8番の森田は「どこからでも点を取れる」と自負している。
2008年創部のチームは、数年前までは滋賀大会の序盤で敗退する「無名校」だった。しかし、21年4月に強化のため宮崎監督が就任し、「新たな歴史を作りたい」との志を持つ選手たちが主に県内や近畿圏から集まった。当初のグラウンドは内野ノックができる程度の広さだったが、現在は高校から自転車で通える距離に両翼100メートルの専用グラウンドを整備し学校敷地内には寮が設けられた。 真新しいグラウンドで実戦練習を繰り返し、レベルアップを図ってきた。冬場は走り込みや守備練習のほか紅白戦に力を入れ、チーム内の競争が活発だ。上田は「チームの強みは粘り強さ。積極的に次の塁を狙う走塁と守備力を磨いていく」と意気込んでいる。
文武両道目指し
1948年創立の白鳩洋裁研究所が前身の私立高。2006年の男女共学化に合わせ彦根女子高から現在の校名になった。校訓は「明朗・英智・親和」。情報・ビジネスや福祉・保育など六つの系列からなる総合学科とフードクリエイト科がある。 22年度に総合学科に新たに設置されたスポーツエキスパート系列では、部活動の練習後に勉強のための校内塾が開かれ、文武両道を目指している。 野球部は08年創部で、現在は県立北大津高を計6回甲子園に導いた宮崎監督が指導する。22年夏には野球部専用の球場も完成した。