「新NISA組」日経平均株価の上下で「解約・買い増し」を検討すべきか判断が難しい…プロのアドバイスは?
日経平均株価が急変動し、8月5日には1987年のブラックマンデーを超える下げ幅を記録しました。 ◆【過去実績】毎月同じ金額ずつ国内外の株式と債券に20年以上積立投資を行った場合、どのタイミングで始めても一度も元本割れとなったケースはない 為替市場も一転して円高に振れており、外国株式などに投資する投資信託の基準価額にも大きな影響を与えています。 その後もボラティリティが高い相場環境が続いており、特に今年から新NISAで新たに投資を始めた初心者にとっては、不安が大きいことでしょう。 とはいえ、短期的な相場変動に完璧に対応するのは、投資を職業とするプロでも難しいことです。 では、新NISAで投資を始めたばかりの初心者は、今回のような乱高下する相場でどのように立ち回ればよいのでしょうか。 投資経験10年以上、元証券マンである筆者より、僭越ながらアドバイスさせていただきます。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
「新NISA」は長期の資産形成を支援する制度
まず、頭に入れておきたいのは、新NISAは長期の資産形成を支援する制度だということです。 相場が大きく変動した場合、解約や買い増しを考えてしまうのは至極当然ですが、本来の目的は長期的な視点で資産形成を行うことです。 短期的に大きな利益を得ようとすればするほどリスクが高くなるので、特に初心者はリスクを抑えた運用を心掛ける必要があります。 新NISAを利用するのであれば、「長期・積立・分散」を念頭に入れた投資行動を心掛けましょう。
【新NISAの初心者】今すべき投資行動とは
新NISAには「積立投資枠」と「成長投資枠」があり、それぞれ投資可能商品や選択できる投資方法(一括または積立)などが異なります。 今回は、新NISAで「積立投資をしている方」と「一括投資をしている方」を想定し、どのように立ち回るべきか解説します。 ●積立投資をしている方 保有商品の価格が大きく下落し、その後の値動きが良くないと他の商品が魅力的に見えるかもしれません。 しかし、投資信託などの積立設定をしている方は、安易に解約したり他の商品に乗り換えたりせず、そのままコツコツと積み立てを継続しましょう。 積立投資なら買付タイミングを分散できるので、長期的に見れば価格変動の影響を大きく抑えることができます。 積立期間が長いほどその効果は大きくなるので、短期的な価格変動に一喜一憂せず、粘り強く続けましょう。 ちなみに、1989年以降、毎月同じ金額ずつ国内外の株式と債券に20年以上積立投資を行った場合、どのタイミングで始めても一度も元本割れとなったケースはありません。 その一方で、保有期間が5年間と短い場合、元本割れの頻度が高くなっています。 あくまでも過去のデータによるものですが、長期間続けることによって安定した運用成果を得られる可能性が高まるのです。 ●個別株等への一括投資をしている方 成長投資枠にて個別株や投資信託、ETFなどに一括投資・集中投資をしている方は、リスクへの許容度が高く、価格変動時のリスクが高いことを承知しているはずです。 しかし、いざ大きな下落局面が訪れると、パニックになって売ってしまうといったケースがあります。 損切りの判断が結果的に正しい可能性もありますが、成長投資枠も長期保有が前提であることは変わらないので、なるべく冷静な投資判断を行うことが大切です。 一時的に価格が下がってしまった場合でも、10年後、20年後には価格が上昇している可能性が十分にあります。 なお、価格が下がった時点で買い増す(ナンピン買い)のも1つの方法ですが、初心者だけではなく、熟練の投資家でもタイミングを計るのは難しいので、安易な買い増しは厳禁です。 仮に相場が下落トレンドに入った場合、ナンピンした資産がさらに下落し、損失が拡大する可能性があります。 必ずしもナンピンが悪いというわけではありませんが、それよりも投資対象と買付タイミングの分散を心掛け、長期的な視点でポートフォリオを組んでいきましょう。