人気の街「世田谷」で空き家が増加中。なぜ、81万戸に及ぶ<空き家だらけの都内>で、住宅価格が高騰しているのか
都内の空き家が増加するなか、依然住宅価格が高騰しているワケ
住宅の劣化により不動産価値が下がり、空き家が増加しているという問題が浮き彫りになっているにもかかわらず、都内の住宅不動産の価格はここ数年引き続き、上昇傾向にあります。 それには下記、3つの理由が挙げられます。 1. 都市部への集中的な居住ニーズに伴い安定していること 2.近年100年に一度と言われる規模の再開発があちこちで行われ、特定エリアの価値が再評価されていること 3.マイナス金利政策が解除されたが依然として低金利が続いており資金調達が容易であること 特に、投資対象とされているワンルームマンションは購入層の裾野が広がったことによりこうした影響を受けやすくあります。首都圏投資用マンション一戸あたりの平均価格は1995年に1,953万円だったのに対し、2022年は3,221万円まで上がっています。
所有者と居住者で「関心をもつ住宅の特徴」に乖離
都内・住宅価格の高騰により、中古再販市場は活況になることが予想されます。そんななか、戸建やファミリータイプのような「自身が住むことを目的とした不動産売買」では起こらない問題点が指摘されています。 投資目的の賃貸不動産における、所有者と居住者の間で「品質や管理維持の課題意識」に乖離が見られる点です。 とある調査では、「災害対策に優れた賃貸住宅」について関心がある居住者が51.2%であるのに対して、関心があると答えた所有者は25.1%でした。さらに、「住宅性能の高い賃貸住宅」について関心がある居住者が45.1%であるのに対して、関心があると答えた所有者は21.9%でした。
不動産市場に燻る問題点
一方で、兼ねてより不動産市場には不動産の表向きと実態が的確に結びついていないという問題があります。現在の仕組みでは内装や管理がどれだけ良好な状態だとしても評価のアドバンテージとされず低い評価がなされる場合があります。 また、築年数が20年以上の不動産については、評価自体が出されない、もしくは表面的なデザイン変更やリフォームで刷新したように見えて実際の内部劣化まで気づかない、もしくは塞いだ状態で流通している場合があります。