こけし界の救世主?「こけしの缶詰」新たな種類発売
仙台で大人気の「こけし缶」。手前2つが、新人職人がつくる「新工人応援缶」だ(安藤歩美撮影)
仙台市の老舗こけし店が販売する人気商品「こけし缶」に、新たな種類が加わった。新人こけし職人2人が作る、「新工人応援缶」だ。人気シリーズ「こけし缶」の制作陣に新人こけし職人を加えることで、苦況の続くこけし業界で新人職人の独り立ちを応援するねらいがあるという。
「こけし缶」は、仙台市青葉区の老舗こけし店「こけしのしまぬき」が昨年8月に発売した人気商品。アルミ缶の中に、ベテランこけし職人が缶詰に入れるためだけに作った小さな特注品のこけしが入っている。缶詰を開けたときの愛らしいこけしの姿が話題を呼び、発売してすぐに全国から問い合わせが殺到。これまでに約1000個が売れる大人気商品となった。 これまで「こけし缶」を制作していたのは、主に60~80代のベテラン職人たち。一方で今回新たな種類の「こけし缶」を制作するのは、職人になりたての20代の新人2人だ。島貫昭彦社長によると、こけしの売れ行きは1970年前後をピークに低迷し続けており、近年では職人を辞めたり、アルバイトと兼業したりする例が増えて後継者不足が深刻化している。今回制作に加わった新人2人も、他の仕事と兼業しながら職人を続けている状況だという。
同店の島貫社長は、そんなこけし市場の苦況の中大ヒットした「こけし缶」を新人にも作ってもらうことで、「苦しい時期に職人になってくれた新人を、何とか応援できないか」と考えたという。「こけし缶」は普段こけしを買わない層にも売れ行きがよく、同じ型や顔を大量に制作するため、数をこなす訓練にも向く。「こけし缶」を通じて職人としての独り立ちを応援しようと、新人職人の作った缶には「新工人応援缶」というラベルも付けた。島貫社長は「こけし缶が新人の将来の希望になれば」と、期待を込める。 「こけし缶」は、全8種類。新人職人が作る「こけし缶」は弥治郎系こけしの2種類で、税込2052円。ベテラン工人の作る「こけし缶」は、弥治郎系、遠刈田系、鳴子系で6種類あり、税込2268円。仙台市青葉区の同店店舗のほか、同店のオンラインショップ、仙台市の東急ハンズでも販売している。 (安藤歩美/THE EAST TIMES)