根拠なく「世界を目指す」を目標に掲げる無責任…“オーディション番組”乱立のカゲで、短命に終わったアイドルの末路
ノウハウや経験なし
一方でサバ番の乱立はアイドル業界に強い副作用を与えているという。番組サイドにグローバル進出のノウハウや経験もないのに、「世界を目指す!」とあまりに安易に練習生に夢を与えていることが問題化しているのだ。多数の練習生を指導しているダンス講師がこう打ち明ける。 「2021年から日本テレビ系で放送された『Who is Princess?』からは5人組ガールズグループ・PRIKIL(プリキル)がデビューしましたが、シングル1枚を発売しただけでほとんど話題にならず、今年4月末でファンクラブの運営を終了しました。 LDH JAPANとテレビ東京が組んだ『iCON Z ~Dreams For Children~』ではØMI(三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)がプロデューサーを務め5人組ガールズグループ・MOONCHILD(ムーンチャイルド)が2023年5月にデビューしましたが、こちらも約1年で活動を終了しています。根拠もなく“世界を目指す”と大見えを切った結果、短命に終わるグループが相次いでいるのです。その気にさせられたメンバーは、その後どうなるのでしょうか」 そんな玉石混交の中、放送業界でいま話題になっているのが日テレ系「No No Girls(ノーノーガールズ=ノノガ)」だ。7人組ボーイズグループ・BE:FIRST(ビーファースト)を送り出した音楽プロダクション・BMSGを率いるSKY-HI(37)が、ラッパーのちゃんみな(26)をプロデューサーに迎えて船出した異色のガールズグループオーディション番組である。 既存のサバ番と一味も二味も違うのはそのコンセプトだ。「身長、体重、年齢はいりません。ただ、あなたの声と人生を見せてください」という呼びかけに共感が広がった。ちゃんみなが自身のSNSで「私は今まで沢山、様々な場面で『No』と言われて来ました。それでも自分の魂の声を聞いて歌って踊ってきました。私の様な経験をした方、または自分で自分に『No』と言い続けている方、(中略)そんな皆さんの声を是非聞かせていただきたい」(原文ママ)と参加を呼び掛け、練習生に寄り添う姿が視聴者に強い印象を与えている。 特にSNSで話題を集めているのが、“ちゃんみな構文”とも呼べる練習生への的確で温かいアドバイスだ。 ≪私は小学校のころからオーディションを受け始めていて合計で19回受けたことがあります。見事に18回全部落ちました。だからここまで来たみんなは本当にすごいんだということを分かってほしいです≫ ≪いいところでも悪いところでもあるんだけど疑問があったときにあまり聞かずに自分で飲み込んじゃって自己処理してしまうところがある気がして、そこがチーム活動と自分の見せ方においてはちょっと足を引っ張ってしまったが、絶対にどこかで咲くんだろうな、この子はって思いました≫ ≪どんな形でも絶対に咲くのよ、その花。私の場合、咲いた花ってトゲトゲしていたと思うし不格好な花だと最初は思うけど、その花を好きって言ってくれる人が私にもたくさんいる。みんなも私と同じだと思ってほしい≫ 30人の練習生を20人(結果21人)に絞る第3次審査に、妊娠中の大きなお腹でのぞんだちゃんみなの言葉に、練習生は涙をこらえきれなかった。オーディション最終審査「No No Girls THE FINAL」は、来年1月11日にKアリーナ横浜で開催される。果たして奇想天外なガールズグループは大輪の花を咲かせるか。 デイリー新潮編集部
新潮社